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ホイールベアリングの交換方法について考えてみる

前から気になっていたホイールベアリングの交換方法について書いてみます。
結論から書くと、サービスマニュアル記載の方法や、一般に良く行われている方法だと、
交換作業した時点で新品のベアリングが傷んだり、位置がずれてしまっているのではないかと考えています。

ちょっと細かい話なので特に興味のある方だけ以下をどーぞ。

ホイールベアリングが組み込まれているハブの構造。
スペーサーカラーを1対のベアリングで挟んでいます。
それらを外側のカラーを介して、アクスルシャフトで両側から締め付けています。
実際にはダストシールやスピードメーターギア、ブレーキキャリパーブラケットなどもありますが、
基本構造はこの図の通りです。

ベアリングがホイールに対してどうやって固定されているかというと、「圧入」です。
ベアリングが組み込まれる部分のハブの内径は、ベアリング外径よりもわずかに小さく作られています。
そこにベアリングを押し込む(これを圧入と呼ぶ)ことで固定がされます。
ベアリングもハブも金属なので、その寸法差わずかです。
概ね0.02~0.03mm前後でしょうか。
金属同士の圧入には、数百キログラム以上の力が必要になります。

交換時は必ず隙間の無い側 = 基準側を先に圧入します。
逆から入れてしまうと、フォークに対してホイールの位置が狙い位置からずれてしまい、
ブレーキキャリパーとディスクのセンターが一致しないなどの原因になります。
どちら側が基準側かはサービスマニュアルで確認出来ます。

基準側のベアリングの圧入
まずは基準側を圧入しますが、ここではアウターレースと外径の合うソケットレンチで
叩き込んでも致命的な問題は起こりません
(工具を本来の目的以外で使用するのは気に入りませんが)。

反基準側のベアリングの圧入①
さて、問題はこちら側です。基準側と同じようにソケットレンチなどで叩き込んでしまうと
ベアリングがスペーサーカラーに突き当たった時点で衝撃でベアリングが傷んでしまいます。
ベアリングの中身は鋼のボールです。
ボールとその受け(レースと呼ぶ)は点接触なので、圧入時の荷重を受けると
打痕(凹み)を生じてしまい、寿命低下の原因になる恐れがあります。

また、基準側のベアリングの位置をずらしてしまうことにもなります。

反基準側のベアリングの圧入②
ソケットレンチが駄目なら専用のベアリング圧入治具で叩き込んだら良さそうですが、
スペーサーカラーを介して基準側のベアリングが傷んでしまうこと、位置がずれてしまうのは同じです。
サービスマニュアルに載っている方法なんですけどねぇ。

それでは、どうすればベアリングを理想的な方法で圧入できるかですが、下図のような方法になると思います。

反基準側のベアリング圧入③
この方法ならベアリングを傷めずに圧入できます。
ネジなどを介して圧入します。
さらにベストなのは、油圧プレスを使って圧入する方法です。

ここまで神経質になる必要はないのかもしれませんが、
本来、ベアリングの圧入は十分注意を払って行うべき作業です。
実際、私はネジ棒を使った方法で圧入しています。

ではなぜ、適切と言えない方法が、メーカー発行のサービスマニュアルに記載されているかですが、
作業環境にあるのではと考えています。
油圧プレスを持っていないバイクショップもあるでしょう。
また、持っていたとしても、タイヤのついた大きなホイールはセットできない可能性があります。
スクーターの小径ホイールならセット・作業可能でも、例えばオフ車のフロントホイールなどは
大径のため、セットできない可能性が高くなります。
それでもホイールベアリングの交換は数万キロ走行毎には必ず必要になってくる作業なので、
実施可能な方法として記載されているのではと思います。

詳しくはベアリングメーカーのホームページにも掲載されていますので、
興味のある方は検索してみてください。

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