2020/7/23作成 メイン、サブ、両方のスロットルバルブのシャフト共に表面はコーティングがされています。 スロットルボディとの回転抵抗を少なくするための二硫化モリブデンかPTFEのコーティングのようです。 このコーティングにケミカル類が付着した場合、剥がしたり変質させて傷めないかを実験しました。 結論から書くと、傷めることはないようです。 全てのスロットルボディに当てはめることはできませんが、少なくともNinja250Rのスロットルボディの バルブシャフトについてはケミカルが付着しても悪影響は無さそうです。 ・ ・ ・ スロットルボディの整備時は、メインボア内やスロットルバルブ、バイパススクリュー流路に付着した汚れを取り除きます。 エアクリーナーを通過したきれいな空気が流れるので汚れることはない、ではなく実際は汚れています。 理由は、空気にブローバイガスが含まれているためです。 ブローバイガスはエンジンのピストン外周から吹き抜けたガスです。 公害物質を含むので、エアクリーナーボックス内に戻し、新気と共に燃焼させる仕組みになっています。 このガスが曲者で、流路にカーボン状の汚れを蓄積させます。 汚れを取り除くのに効果的なのは、キャブレタークリーナーなどの洗浄剤です。 しかし、クリーナーがコーティングを侵してしまっては困るので、実際に付着させて実験してみました。 確認方法は2つです。 1つはケミカル付着、放置後に外観上の変化がないかを目視で確認します。 もう1つは、寸法上の変化を調べます。 コーティングが溶けたり剥がれたりすれば小さくなるはずですし、 膨潤(液体を吸って膨らむこと)すれば大きくなるはずです。 実験前の直径測定。 メインスロットルバルブの直径は9.978mmでした。 サブスロットルバルブの直径測定。 こちらは5.875mmでした。 余談になりますが、測定に使用しているデジタルマイクロメーターは今回の実験を機に買いました。 前から買おうか迷っていたのですが、安くもないので二の足を踏んでいました。 しかし、ブレーキディスクの厚さ測定や、エンジンのタペットシムの測定にも使えるので、思い切って買いました。 大事に使えば一生物だし。 アナログのマイクロメーターを選ばなかったのは、私が読み取りが苦手だから。 仕事で旋盤で材料を削っていた時、0.5mm読み間違えて削りすぎたことがあったような・・・。 実験スタート。 それぞれのシャフトの左右にヤマハのキャブレタークリーナーとワコーズのリムーバーを吹きかけました。 1時間放置します。 キャブレタークリーナーは、私がよく使っている泡タイプの物で洗浄力が高いです。 若干金属そのものを侵食しているような気もしますが・・・。 リムーバーは、ガスケット剥がしや塗装の剥離、カーボン除去に使うものです。 スロットルボディの清掃には使いませんが、バイク関係のケミカルで最も強力そうなので実験に加えました。 ・ ・ ・ 1時間経過しました。 パーツクリーナーで洗い流し、まずは外観をチェックしてみます。 変化はどうでしょう? 実験後の外観。 色、質感共に全く変化はありません。 メインスロットルバルブシャフトの外径測定。 測定値は9.977mmでした。 ケミカル付着前の測定値は9.978mm、差は0.001mmです。 この差は測定誤差の範囲なので、外径の変化は無しと言えます。 この測定箇所はリムーバーを吹きかけた箇所ですが、 キャブレタークリーナーを吹きかけた箇所でも外径変化はありませんでした。 サブスロットルバルブシャフトの外径測定。 測定値は5.876mmでした。 ケミカル付着前の測定値は5.875mmだったので、こちらもその差は0.001mmです。 メインスロットルバルブシャフトと同様、外径の変化はありませんでした。 バイバススクリューの流路などはキャブレタークリーナーを吹き込んでの清掃が簡単、確実そうです。 そんな時、クリーナーがバルブシャフトに付着しても、悪影響は無さそう、 ということが実験で確認できました。 とは言っても、作業される方はくれぐれも自己責任でお願いします。 |