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青森(2021/7/19-22)2日目

前日からの続きです。

竜飛岬へ

 十和田湖畔宇樽部キャンプ場の朝は、ヒメマス漁の漁船のエンジン音、そしてカラスのやかましい鳴き声でスタートした。
 キャンプ場の朝はカラスの鳴き声で目覚めることが多い。ウグイスのホーホケキョなら風情があるけれど、カラスのカァカァではまったく残念なのだ。
 カラスは残飯目当てに集まっているのだろうか。しかしほとんどのキャンプ場のゴミ箱は動物に荒らされないようにしっかり対策されているので、餌にありつくのは難しいと思うんだけど。
 しかし今日、カラスより何より気になるのはリアタイヤのパンクである。パンクに気が付いたのは昨日の夕方。8割方磨り減って薄くなったタイヤでキャンプ場のダートを走ったのがいけなかったのだろうか。
 理由を考えても仕方がない。今日はなんとか直してツーリングを続けたい。朝から勝負をかけます。

朝食。

 腹が減っては戦は出来ぬ。パスタを茹でて、青森名物「スタミナ源たれ」ソースで食べます。このソース、青森ツーリングに合わせて出発前日に地元松本市のスーパーで買った物。普通に美味しかった。
 キャンプツーリングをするライダーはどんな朝食を食べているのだろう。私は最近はもっぱらパスタ。ご飯と違って失敗はまずないし簡単なので。

リアタイヤ。

 タイヤが柔らかい地面にめり込んでいる、ではなくてパンクして空気が完全に抜けているのです。朝起きたら実はパンクしてなかった、パンクは飲みすぎが原因の悪い夢だった、なら良かったのだけれどやっぱり現実だったか。残念。

 さて、勝負である。ガソリンスタンドまで行き、パンクを修理してもらわねばならない。
 昨日借りたハンドポンプで空気を入れ、出発しやすい位置へバイクを移動させて荷物を載せる。ジャケットを着てヘルメットを被り、グローブもつけたらエイエイ、ウリャウリャともう一度ハンドポンプで空気を補充。圧力は1.5キロ。
 ポンプを外したら管理棟へダダっとかけて行って返却、戻ってきてエイッと飛び乗ってエンジン始動、発進!
 目指すガソリンスタンドは約5km先。昨夜の実験だと空気圧が1.5キロから1キロまで下がるのが約3分だったから、空気が完全に抜けるまでの時間は10分弱だろう。ただしこれは荷物なしの停車状態。荷物満載で走っていればもっと早く空気が抜けてしまうかもしれない。それまでにガソリンスタンドまで到達できるか。
 完全に空気が抜けてしまえばホイールを傷めてしまう。一刻も早く到着したい。しかしスピードを上げてタイヤの負荷が高くなると空気漏れは多くなるかもしれない。アクセルは開けるべきか抑えるべきか。イヤな汗が脇の辺りを流れていく。
 昨日食料を買ったきむらストアを通過した。もう1km位のはずだ。空気が減ってきた。タイヤの変形が大きくなり、転がり抵抗が大きくなってきたのを感じる。頼む、空気よ持ってくれ。

 ついに何とかガソリンスタンドに到着。やった、走りきった!タイヤの空気は完全に抜けていなかった。見た目からは0.5キロ位は残っていただろうか。店内から店員が出てきた。
 私「パンク修理お願いできますか?」
 店員「(チューブタイヤの)バイクは出来ないよ」
 「車と同じチューブレスなので出来るはずです」
 「(チューブレスなら出来るか、)どれどれ」
 バイクをピットに入れた後、すぐに修理に取り掛かってくれました。手馴れた手つきでリーマを通し、修理材に接着剤を塗って挿入。石鹸水をかけても空気漏れはありません。直りました!

修理材で塞がれたパンク部分。

作業をしてくれた店員さん(左)。

 作業後に少し話をしました。1年で4、5台はバイクのパンク修理をするそうです。私には茶褐色の丸い笑顔が救世主に見えたのでした。本当に助かりました。
 修理が終わったのは8時半頃。予定通りツーリングを続けられます。ヨカッタ、ヨカッタ!

旧小坂駅にて。

 パンク修理の後は、小坂レールパークへ向かいました。ここはかつて鉱山のために敷かれた鉄道「小坂鉄道」の小坂駅です。
鉄道は10年以上前に廃線になりましたが、見学施設として整備されています。
 現在はコロナの影響で休止されていますが、寝台客車に泊まることもできるそうです。

DD130形ディーゼル機関車。

 鉱山からの貨物列車はこの機関車が牽引していました。汚れた車体、漂う油の臭い。力強く貨物列車を牽引していた姿をイメージさせます。運転体験もできるそうですが現在休止中。

機関車脇に展示されていたピストン、コンロッド。

 デカイ! 排気量31,000ccの直列6気筒エンジンなので、1気筒あたり約5,000cc。船舶用エンジンではもっと巨大でしょう。しかし車やバイクと比べると十分デカイ。右下は比較のために展示されている軽自動車のそれです。
 構造は少し違い、コンロッドボルトは4本、オイルリングの位置はピンより下です。ピストン上面には「STD」の刻印があったので、補修用のオーバーサイズピストンの設定もあったようです。最近のバイクはメッキシリンダーなのでオーバーサイズピストンの供給は無いんだっけ。

ババヘラアイス。

 1時間ほどの園内見学の後、売店のショーケースを覗き込むと見慣れないアイスが入っています。ババヘラアイス?、秋田名物らしい。せっかくと思い買って食べてみたところ、素朴で爽やかな美味しさでした。
 帰宅後に調べると、本来は路肩にパラソルを立てて売っているアイスらしい。注文すると中高年の女性、ババが(失礼)アイスをコーンにヘラで花のように盛り付けてくれるので「ババヘラアイス」。
 思い出したのは沖縄です。同じように路肩にパラソルを立ててアイスを売っているのを妻と旅行に行った時に何度も見ました。今思えば買って食べなかったのが心残り。次回機会があれば買って食べますよ。

国道339号を北上。

 小坂レールパークの次は一路竜飛岬を目指します。北海道にも似た美しい海岸線の道。海は透明で青い。

国道脇の展望台、眺瞰台(ちょうかんだい)にて。

 津軽海峡の対岸に見えるのは北海道。手前は目的地の竜飛岬、もうすぐです。

竜飛岬にて。

 ついに到着。松本からの走行距離は約1,000km、遠かった。目前に見えるのは海上自衛隊竜飛警備所のレーダー施設。津軽海峡は防衛上重要な場所なのです。

階段国道。

 有名、なようです。歩いて往復してみようかと一瞬思ったけれど、結構高低差があるし暑いのでパス。次回?にします。

津軽海峡冬景色の歌謡碑。

 「ごらんあれが 竜飛岬 北のはずれと」、ここでは2番が主役です。碑の前には赤いボタンがあって、それを押すと歌が再生されます。歌とはまるで違う暑い夏の日でしたが、吹き続ける強い風と曲のイメージは合ってました。
 このツーリングから帰って数日後、このメロディが仕事中に何度も頭の中でぐるぐると再生されたのでした。

青函トンネル記念館。

 竜飛岬の真下には本州と北海道を結ぶ青函トンネルが通っています。その歴史や技術などを展示しているのが青函トンネル記念館です。歌謡碑の次に訪れました。ケーブルカーに乗って地下見学もできます。

建設計画時の地質調査についての展示パネル。

 「海水が流れ込んできたら全滅してしまうからです」さらっと恐ろしいこと書いてます。トンネルを通行するのはよく考えると飛行機よりも怖く思えてきます。地震とかあったら・・・、大丈夫なんでしょうけど。

今夜の宿泊地、今別町鋳釜崎キャンプ場。

 目の前に津軽海峡、そして対岸に北海道。最高。
 さらに嬉しいのは無料にも関わらずよく整備されていること。設営場所は広く平らな草地で、前夜と違って背中が痛くなることもありません。今夜はよく眠れそうです。
 ゴミが捨てられるのも助かります。ゴミが捨てられないキャンプ場はロングツーリングだと困ってしまいます。夕日の美しさもあってお気に入りのキャンプ場になりました。
 1つだけ残念なのは、近くにスーパーがないこと。今別町内をウロウロしても見当たりません。地元の方に尋ねてみたところ、「30km近く離れた蟹田まで行かないとないですよ」 スーパーで地元の人が普段買っているものを見て買うのが楽しみだったんだけどな。仕方なくホームセンターの一角の食料品売り場、それにコンビニで夕飯の材料を調達しました。

津軽海峡の日没。

 こんなに素晴らしい日没は北海道の奥尻島から眺めて以来です。日中の熱い空気も冷めはじめ、風も心地良くなってきました。
 ツーリングに来て本当に良かった。私はこういう瞬間のために走っているのかもしれない。冷たいビールのためかもしれないんだけど。
 日没を眺めながら、キャンプ場のすぐ南側に住む男性としばらくお話しました。年齢は70歳前後でしょうか。散歩でよくキャンプ客と話すそうです。興味深いお話をたくさん伺い、30分ほど話し込みました。
 ―かつてはこの津軽海峡にはたくさんのイカ釣り船が浮かんだ。数えてみると多いときは40隻はあり、その灯りで陸まで明るかった。しかしイカが年々捕れなくなり、漁師も高齢化、船はすっかり少なくなってしまった。イカがいないのでそれを食べる大型魚も少なくなってしまった。イカが採れなくなったのは気候変動の影響だろうか。
 とにかくイカ釣り船というのは燃料を使う。イカ寄せ用の照明を点灯させるための大型の発電機を動かすためだ。小型船でも一晩で1,000リットルほどの燃料を使うので燃料が高騰しているので採算がとても厳しい。

 ―そのうちイカは高級品になってしまい気軽に食べられなくなってしまうかもしれません。

日没後。

水平線の向こうに太陽が隠れてしまっても、空には太陽の色が残っています。この時もまた美しい。

今日の走行距離は256km。明日は青森市を経由して南下、帰路につきます。
お休みなさい・・・zzz。