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ベアリング測定 2021/8

点検でベアリングのガタが気になったので、新品のベアリングとのガタの比較測定をしました。
結果としては大差はなく、交換せずにもうしばらく使うことにしました。

細かい話なので伝わらないかもしれないことを先に断っておきます。


 1ヶ月前、足回りのベアリングを入念に点検しました。新車購入からの走行距離は40000km、今まで無交換のベアリングがそろそろ交換時期かもしれないと考えたためです。
 点検の結果、前後各2個のホイールベアリングについては異常無しと判断しました。一方、スプロケットハブのベアリングのガタが気になりました。磨耗してガタが大きくなってきているのかもしれないと考えました。
 しかし新品のベアリングにもガタはあります。交換すべきかそのまま使うか判断に迷います。
 そこで使用中のベアリングと新品のベアリングそれぞれのガタを比較測定してみることにしました。手の感覚だけではガタの大小は分かりにくいので測定値を元に交換を判断することにします。ここでは測定に加えてベアリングの構造や「ガタ」について書いてみます。

ベアリングのカットモデル。

 他のバイクの交換で取り外したベアリングです。切断砥石を取り付けたリューターで一部を切り取りました。異物の侵入を防ぐシールドは取り外しています。
 内輪と外輪の間でボールが転がることで軽く回転する仕組みです。ボールは保持器によって等間隔に配置されています。

スプロケットハブベアリングの点検。

 ベアリングの点検は指の感触が頼りです。内輪を回してみてゴロゴロせずにスムースに回るか、渋くないか。外周方向や軸方向に力を加えてみてガタが大きすぎないかを点検します。

すきまの解説。

 ベアリングの構成部品である内輪、外輪、ボールはそれぞれが動くので、それらの間にはわずかながらすきまが設けられています。
 軸に対して直角の外周方向のすきまが「ラジアル内部すきま」、軸方向のすきまが「アキシアル内部すきま」です。このすきま分だけ内輪と外輪の位置関係が変化します。
 ホイールやスプロケットハブベアリングに組み込まれたベアリングは外輪が固定されているので、内輪を手で動かすとすきま分だけ動きます。私が「ガタ」と言っているのはこれです。
 一般的にガタはあると良くないものです。しかし部品同士が動くためには適度がガタがないと動けません。バイクのホイールに使われる一般的なベアリングの場合、ラジアル内部すきまは0.01~0.03mm程度、アキシアル内部すきまは0.1~0.2mm程度です。
 私が気になったガタは軸方向のアキシアル内部すきまです。内輪を軸方向に手で動かしてみると動き、ガタを感じました。新品のベアリングと比べて著しくガタが大きくなっていればボールなどが磨耗しているわけで交換が必要です。ただし新品のベアリングであっても手で分かるガタはあるので判断に迷ったのです。そこで測定を行って数値で判断してみます。

スプロケットハブベアリングの測定準備。

 測定のためにM16のボルトを内輪に固定しました。

測定の様子。

 ダイアルゲージはスプロケットに固定しています。ゲージの先端はボルトの先端に当てています。

ガタの測定。

 手でボルトを押し上げて測定します。値は0.13mmでした。JISで定められた正式な測定方法ではありませんが目安にはなります。

比較対象の新品のスプロケットハブベアリング。

 カワサキ純正品です。内径30mm、外径55mm、NTN社製。グリスがあらかじめ充填されていました。

刻印。

 サイズを示す「6006」の後に「C3」と書かれています。C3はすきまの設定量で、標準よりも広いすきまを表わします。
 ホームセンターや金物店で売られているベアリングはこのすきまが標準の「CN」がほとんどです。安易にそれらに交換してしまうと、すきまが小さすぎて回転が重くなってしまうことがあるので注意が必要です。

新品ベアリングの測定。

 こちらはVブロックに載せて同じように測定しました。

測定結果。

 0.11mmでした。40000km使ったベアリングは0.13mmだったので、新品比で0.02mmすきまが大きくなっています。※1
 私はこの程度の差であればまだ使えると判断しました。なので交換せずにもうしばらく使うことにします。

 ベアリングの点検でガタを感じたのは軸方向です。外周方向のガタは感じられませんでした。新品のベアリングの外周方向のガタは最大でも0.03mm程度なので、手で感じることは出来ません。
 仮にそのガタが感じられたとすると交換が必要です。構造上外周方向のガタはホイール・タイヤの振れに直結するからです。

※1 使用中のベアリングはハブに圧入されています。締め付けられるためにすきまはベアリング単体時よりも小さくなっています。同じ条件での比較とは言えませんが、それによる差は小さいので無視することとしました。

参考 NTN株式会社 転がり軸受総合カタログ(Cat. No. 2203/J)総合解説 8.軸受内部すきまと予圧