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クラッチマスター・レリーズ(スレーブシリンダー)整備 2021/5

今回の記事の要約。

クラッチレバーの重さが気になったので整備をした。
結果、レバーは軽くなった。

しかし、そのうちまたレリーズからフルード漏れしかねないのを見つけてしまった。
どうもZX-14Rの持病のようなので定期的な点検がおすすめですよ、と書こうとした。

ところが調べてみたら、私のZX-14R以外ではあまり起きていない問題のようだった―。


クラッチレバーを引くのが最近何となく重くなった。
重いだけではなくスムースでなくなったような気もする。
この頃はクラッチレバー操作の軽いR1-Zにもマメに乗っているので、比較してそう感じているのかもしれません。
しかし経験上、この「何となく」という感覚は結構当たっていたりします。

そこでクラッチのマスターシリンダーとレリーズ(スレーブシリンダー)の分解整備をすることにしました。
それぞれ過去に整備はしていますが、それから数年が経ち距離も走りました。
特にクラッチレリーズは気掛かりです。
フルード漏れのためアッセンブリー交換をしましたが、それからは点検整備をしていません。

フルードの抜き取り。
分解時にこぼれにくくするために、注射器で引いて出来るだけ抜き取ります。

マスターシリンダーの取り外し。
スイッチのコネクターとブレーキホースのバンジョーボルトは先に外しておき、クランプを外します。
フルードは事前に抜き取っておいても少し漏れてしまうのでウエスで受けます。

ピボットピン、レバーの取り外し。
ピボットピンは下側のナットを取り外してから緩めて抜き取ります。
グリスは十分残っていて潤滑状態は良好でした。

ピストンの取り外し。
スナップリングプライヤーでスナップリングを外して抜き取ります。

ピストンの傷。
セカンダリーカップの外側に異物を巻き込んでカジったような傷がありました。
表面を触るとカエリが出ていて荒れています。
ゴムブーツでシールされていて、異物は入り込みにくいのに不思議です。

カエリはオイルストーンで磨いて取り除きました。
シリンダーに組み込む時はこの部分全周にグリスを塗っておきます。
ピストンはフルードで潤滑されますが、ここはフルードに浸からず潤滑されにくいためです。

シリンダーの内側点検。
見た目に異常がないか、指で触ってみて凹凸がないか確認します。
当たりが強い部分はありましたが、凹凸は感じられないので問題なしと判断しました。
念の為にピストン単体を挿入して引っ掛かりがないか確認しましたが、滑らかに動き問題ありません。

あとは元通りに組み立ててマスター側の点検は完了です。
次はクラッチレリーズ(スレーブシリンダー)の点検です。

クラッチレリーズの取り外し。
ボルト3本を緩めて抜き取ります。
今回はアンダーカウルを装着したまま作業しました。
左下のボルト(写真では取り外し済み)はカウルとの隙間が狭いですが、
短いのでうまくずらせばカウルを避けられます。

取り外したレリーズ。
4年前の22,000km走行時点で新品アッセンブリー交換しています。
シリンダーの段付き磨耗が原因でフルードが漏れたためです。
交換作業時は長持ちさせるためにグリスをしっかり塗って組みました。
しかしそれから17,000km走行後の今、あまりグリスはあまり残っていません。

シリンダー内側の点検。
ピストンを抜き取ってみると、残念なことに段付き磨耗がまた始まっていました。
クラッチレバーが重く感じられたのは、グリスが減って潤滑不良になったことと、この磨耗が原因のようです。

このすぐ近くにはスプロケットとチェーンがあります。
そこから飛び散る砂や埃などの異物を噛みこみ、段付き磨耗を起こすようです。
磨耗の位置は車体取り付け状態で真下になる場所で、異物が集まる場所と一致します。

水が流れ込みやすく溜まりやすいという理由もあるかもしれません。
サイドスタンド使用中の車体は左に傾いているためです。
水は砂や埃を運んできて、グリスも徐々に洗い流してしまいます。

ピストンの点検。
当たりが強い場所はありますが、目立った磨耗はありません。
シールゴムのリップ部の傷みや磨耗はわずかで問題ないと判断しました。

ピストンの材質はスティール製でメッキ(硬質クロム?)がされていて硬いです。
一方、シリンダーはアルミ製で表面処理無しのため、ピストンに比べると硬くありません。
なので磨耗しやすいのはシリンダー側です。

研磨したシリンダー内面。
ピストンをスムースに動作させるため、スポンジ研磨材で段付き部を軽く磨いてなだらかにしました。
しかし磨けば内径は当然大きくなるわけで、やりすぎはフルード漏れの原因になります。

シリンダーへのピストンの組み込み。
潤滑と異物の侵入防止を狙って多めにグリスを塗っておきました。
長持ちすると良いのですが。
マメに点検してグリスアップすることにします。

フルードのエア抜き。
フルードを注いでから、マスター部とレリーズ部の両方からエア抜きをします。

作業完了。
レバー操作は軽くスムースに戻りました。
やはりレバーが重くなった主な原因は、レリーズ側のピストンの潤滑不良だったようです。

先に書いた通り、22,000km走行でフルード漏れを起こしたためレリーズはアッセンブリー交換しました。
交換後17,000kmを走行して今回のようにクラッチレバーが重くなり始め、段付き磨耗が確認されました。
今回の整備をしていなければ交換後20000~30000km走行した時点で再びフルード漏れを起こしたかもしれません。
ZX-14Rオーナーへは「クラッチレリーズのオイル漏れ点検 初回20,000km、以降10,000km毎」をお勧めします。
・・・と書こうとしましたが、不思議なことに私のZX-14R以外ではあまり気にしなくても良いようなのです。

この症状が他の方の車両で起きていないか調べました。
まずはWebです。
ZZ-R1400の頃からここの構成は変わっていないので、同じ症状が多くヒットしそうです。
ところが実際は、北米のZX-14/14Rフォーラムで1例見つかっただけでした。
ZX-14 Ninja Forums leaking clutch slave cylinder

ZX-14RオーナーでこのHPからリンクしているTOMOさんにも尋ねてみました。
TOMOさんはZZ-R1100、ZZ-R1400、ZX-14Rと乗り継いでいます。
しかし、クラッチレリーズからのフルード漏れが起きたことはないとのこと。
3車種ともここの作りは同じようなものなのですが。
そういえば私も油圧クラッチで同じようなつくりのGPZ1100で50,000km走りましたが、
フルード漏れは起きませんでした。

私のZX-14Rだけの症状の理由が分からないので何とも不思議です。
あなたのZZ-R1400、ZX-14Rはどうですか?
クラッチレリーズの下を触ってフルードが手に付いてこないか確認してみて下さい。


これらの整備の後、クラッチレバーの整備を追加で行いました。