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フレームアースめねじ修理 2021/6

フレームアース部のめねじが壊れてしまったので修理します。

めねじの破損には色々な対処方法があります。
ねじ山を切り直してサイズの大きなボルトに交換してしまう方法、
溶接で肉盛りしてネジを切りなおす方法、
めねじには頼らずナットを併用する方法等です。

今回は手持ちの「リコイルキット」を使う方法を選びました。
元のネジと同じピッチで直径だけが大きい専用タップで穴をさらい、
新しいねじ山になるスプリング状の部品「リコイルインサート」をねじ込む方法です。
ねじサイズは変わらないので、修理完了後は破損前と同じサイズのボルトが使えます。

使用方法はメーカーサイトやキット付属の説明書に書かれていますが、
実際の作業例として手順を紹介します。

リコイルキット。
専用タップ、ハンドル、リコイルインサートなどがセットになっています。
古いセットなので現行品とは中身が少し違います。

このキットを買ったのはもう20年以上前です。
当時乗っていたBandit250のジェネレーターカバーのボルト穴修理のためでした。
カバー交換時にボルトを締め過ぎてしまい、めねじをばかにしてしまったのです。

思い出しました。
カバー組み付け時、めねじをバカにしてしまっただけでなく、配線を挟んでしまったのです。
結果ヒューズを飛ばし、さらにはレギュレターも壊してしまいました。
良い経験になりました。

キットの専用タップでのねじ切り。
説明書では、この前に指定サイズのドリルでねじ穴をさらって整えることが指示されています。
しかし材料がアルミで柔らかく長さも短かったため、ドリルは省略してタップを立ててしまいました。
本来は説明書の指示通りにドリルを使うのが懸命です。

注意点が2つ。
1つ目はタップが傾かないようにすることです。
ある程度タップが入ってしまうと、傾きの修正はできません。
タップの入れ始めに上下左右から何度も眺め、できれば定規などをあてて垂直を保ちながら回していきます。

もう1つは油を少し差すこと。
表面がむしれるのを防ぎ、タップの回転抵抗を小さくし、切りくずの周りへの飛び散りも減らせます。
油は専用品がベストですが、何でも無いよりは良いです。
今回は手元にあったチェーン給油にも使っているエンジンオイルを使いました。

切りくずの排出。
タップを進めていくと、切りくずが詰まって回転が重くなっていきます。
そのまま回し続けるとねじ山を傷めたり、表面がむしれてしまったりします。
そこで途中で何回かタップを戻して引き抜き、切りくずを排出します。

専用タップでの加工後。
オイル混じりの切りくずはパーツクリーナーで洗い流しました。
きれいにねじ山が切れました。

「リコイルインサート」の挿入準備。
キット付属のハンドルにセットします。
インサート末端部の内側に折れ曲がった部分「タング」を工具の溝に入れます。

リコイルインサートの挿入。
回転させながら挿入します。
ここで重要なポイントを紹介。
ハンドルをやや強め位(表現が難しいですが)に押し付けながら回します。
押し付けが弱いままで回していくと、リコイルインサートが正しく納まりません。
過去の作業時に押し付けが弱くて何回か失敗してしまいました。

インサート挿入完了。
表面からわずかに奥まった位置までインサートが入れば挿入完了です。
次は挿入時に専用工具先端を引っ掛けていたタングを折り取ります。

タングの折り取り。
キット付属の専用工具(単純な棒ですが)を入れて叩いて折ります。
矢印部、フレームの突起に乗せているのが折り取ったタングです。

修理完了。
使用するボルトをねじ込み、スムースに入るか確認します。
ここに使われる専用のアースボルトでは少し抵抗がありました。
特殊な先端部が引っ掛かり気味なようです。
通常のボルトをねじこんでみたところ、抵抗なくスムースに入りました。

接続端子の取り付け完了。
ボルトはきちんと締まり、本来の状態に戻りました。

専用アースボルトの採用は、製造コストダウンが目的でしょう。
フレームアース部の塗装剥がし、あるいは塗装前のマスキング・塗装後のマスキング除去作業が省けます。
しかしバッテリー整備時に毎回脱着され、柔らかいアルミがメネジになるこの場所での使用は
必ずしも適切な選択ではなかったのではと思います。
うたい文句の導通確保も微妙な場合があるようなので、通常のボルトが良かったのではと考えてしまいました。