1-11 センサー検討・テスト

2022/1

 タイムを測定するには、バイクがスタート・ゴールラインを横切るのを何らかの方法で検出しなければなりません。いくつかの方法が考えられますが、二輪、四輪を問わず広く使われているのが光電センサーを使った方法です。

 光電センサーは主に工場の製品生産ラインなどで使用されているもので、光を放つ投光とそれを受ける受光からなります。通常投光からの光は受光が受けていますが、そこに物などが通りがかると光が遮られて検出される仕組みです。

 光電センサーには透過形と反射形の2種類があります。透過形は投光と受光が別体になっていて向かい合わせで設置します。一方反射形では投光と受光一体で向かい合わせに専用の反射板を設置します。

 ジムカーナで使用されているのはほぼ反射形のようです。透過形より検出できる距離は短めです。しかしそれでも幅4m程度までは検出できるので、二輪車や四輪車が横切るのを検出するのには十分です。また、透過形では投光器と受光器のいずれにも接続コードが必要で、それをコースを横切らせて設置しなければなりません。コース上にコードが横切っているのは危険で設置も面倒ですが、反射形ならその心配はありません。

 さらに反射形には2種類があります。回帰反射形と拡散反射形です。専用反射板で光を反射させるのが回帰反射形、検出物自体の反射を利用するのが拡散反射形です。拡散反射形なら反射板が不要となるため、設置がラクに出来そうです。しかし検出できる距離は回帰反射形より短くなります。バイクのように形や色が定まらず、通過時の距離も一定でない状況では正しく検出できるかは未知数です。今回は多くの利用例がある回帰反射形を選定しました。

光電センサーの種類。

いずれは拡散反射形のセンサーも試してみたいものです。

購入したオムロン製回帰反射形センサー。

 型番は形E3Z-R61 2Mです。2mのコードがセンサーに直付けされています。ヤフオクで未使用新品としてセンサー2個と反射板2個がセットで出品されていました。センサーと反射板は1組あれば十分ですが、まとめて安く出品されていたので落札です。もう1組は予備にしておきます。

 センサーには検出信号の出力方法違いで2種類が販売されています。「NPN出力」と「PNP出力」の物です。どちらでも使えなくはないのですが、今回使用のマイコンへ簡単に接続できるNPN出力品を選択しています。

センサー拡大。

 ドーム状の透明カバー内には動作表示用LEDが2個入っています。その下のmin-maxのボリュームは感度調整です。max側に回すとLEDが明るくなり検出感度が高くなります。

 さらにその下のD-Lと書かれているのは動作切り替えスイッチです。光が受光部に入っていない時にセンサー出力をONにするにはD(Dark ON)に、逆に受光部に光が入っている時にONにするにはL(Light ON)に設定します。

 今回製作のタイム測定器ではセンサーの位置合わせがしやすいように、L(Lignt ON)で使用します。Lにしておけばセンサーに光が入る、つまり反射板との位置が合っていればオレンジ色のLEDが点灯します。

動作テスト。

 先日製作のテスト回路に接続してテストです。光を遮るとタイム測定スタート、もう1回遮ると測定ストップします。目論見通りの動作に満足。コースに置いて使ってみたくなります。

 反射板は一般的な鏡とは違っていて、光が入ったきた方向へ反射させる仕組みです。そのためセンサー本体に対して少々傾いていても問題なく動作します。写真は極端な例ですが、この位傾いていても正しく動作しています。

センサーとDC-DCインバーター(左)。

 タイム測定器の電源にはモバイルバッテリーを予定しています。入手しやすく持っている人が多い、充電しやすいこと、それに出力電圧がマイコンの電源電圧と同じ5Vで直接供給できるのが理由です。

 しかし1つ問題があります。センサーの電源電圧は12~24Vです。モバイルバッテリーそのままの電圧ではセンサーを動作させることはできません。そこでDC-DCインバーターを使って5Vを昇圧してセンサーに供給しています。

 使っているDC-DCインバーターは出力電圧を5~23Vまで可変できます。一方センサーの電源電圧は12~24Vです。センサーを動作させるだけならインバーターの出力電圧は12Vにでも設定しておけば良いのでしょう。しかしその出力でLEDも点灯させるので最終的に何Vで使用するかは現時点では分かりません。どうやら単純に決められる話ではなさそうなので試行錯誤して決めることにします。