アクリル板を割らずに穴開けする方法
2024/11
2024/11
アクリル樹脂。透明度が高く、硬く傷つきにくい。ホームセンターでも入手できて値段も手頃。しかし硬さと引き換えに割れやすく、穴開け加工時に割ってしまうことがあります。ここでは割れにくい穴開け方法を紹介してみます。
この記事を書いたきっかけはジムカーナ用タイム測定器の製作です。測定器の表示部にはアクリルやポリカーボネート製の半透明カバーを取り付けます。LEDを保護するとともにコントラストを上げて見やすくするためです。
製作中、アクリル板にネジ止め用の穴を開ける際、失敗して割ってしまったのでした。割れやすいのは分かっていたのでドリルを慎重にゆっくり送ったものの、貫通する瞬間にドリルが一気に食い込んで割れてしまいました。トホホ。アクリルに限らず薄板は要注意ですな。
そこで割らずに穴開けできる方法をWebで調べたのでした。その結果を実践してみたところ良い結果が得られたので紹介です。
タイマー製作時の穴開け失敗例。
アクリル板の厚さは2mm、ドリル径は3.5mm、ボール盤使用。せめて下に捨て板を敷いていれば防げたかもしれないのに…反省。
そもそも穴の位置が外周に近すぎるんじゃないの?と思ったアナタ、その通り。もっと離した方が良いのは分かっていたのですが設計上やむを得ず。
アクリル板を割らずに穴を開ける方法をWebで調べてみました。まず見つかるのが専用ドリルを使う方法です。アクリル板メーカーが販売するので間違いないのでしょうが、ドリル径は3、4、5mm・・・と1mm刻みに限られます。それに専用ドリルは1本1000円以上と安くありません。DIYで数個だけの穴開けなので、手間はかけても費用は抑えたい。
そこで次に目に留まったのがドリルを加工する方法です。刃先の角度を大きく鈍く加工することで食い込みを防ぎます。ダイソーで販売されているドリルで試してみました。
ダイソーで購入のドリル。
ダイソーと言えど最近は100円で買えない商品が増えていますがこれは100円でした。「ジルコニウムコーティング」? コーティングなら耐摩耗性向上のための窒化チタンが一般的ですがジルコニウムって? どうやら単純に防錆のためらしい。
ドリル先端。
わずかに欠けている部分がありますが100円ですからこんなもんでしょう。驚いたのはシンニング(切れ味を良くする加工)も施されていること。100円なのに!
無加工のドリルでのアクリル板穴開けテスト。
やはり買ってきたままのドリルでは、穴位置が外周に近いと高確率で割れてしまいます。
半丸のダイヤモンドヤスリ。
これでドリルの先端を加工します。同じくダイソーで購入、100円也。切れ味や耐久性は期待できませんが、ドリルの刃先をわずかに削るだけなので事足りるでしょう。
ドリル刃先の研磨。
2箇所の刃先を削ります。削るといってもわずかなので5分もかかりません。
削った刃先。
銀色の部分が削り取った部分です。右下は角度を変えて撮った写真。
加工前の刃先は加工物をすくい取るような鋭い角度です。刃先を削りその角度をほぼ垂直にしました。こうすると刃先が食い込みにくくなりアクリル板が割れるのを防げます。切れ味としては悪くなるので金属用には使いにくくなりますが100円なのでOK!
刃先を加工したドリルで穴開けしたアクリル板。
ご覧の通り割らずに穴開けできました。外周や他の穴が近くても全く問題なし、割れません。メデタシメデタシ!
アクリル板であっても、加工したドリルを使い、捨て板も敷けばほぼ割らずに穴開けできます。ぜひお試しを、ってフツーはそんな機会ないか。