Ali ExpressでLEDを買ってみた

　いつからだろう、Webで検索をかけると「Ali Express」の販売商品がヒットすることが多くなってきた。Ali Expressは中国のネットショップで実に様々な物を売っている。Amazonみたいなものだ。

　バイクのパーツなんかも扱いがあるので、この記事を読んでくれている方もAli Expressのサイトに掲載の商品を見たことがあるかもしれない。

　驚くべきはその価格である。とんでもなく安いのだ。どう考えても利益は出ないはずなのだが1円で送料込みなんて物もある。ただし安いといっても説明が不十分で怪しげなもの、模造品と思われる物も紛れているようにみえる。しかしそれらを差し引いてもとんでもなく安いのである。

　今回、タイム測定器に使えそうなLEDを探していたところ、良さそうなものがAli Expressで販売されているのを見つけた。タイム測定器は炎天下でも使うので、とにかく明るいLEDが大量に必要で、その条件に合いそうな物が見つかったのだ。値段は500個で2,000円ほど。超高輝度のLEDなのに1個あたりの単価は4円ほどなのでとても安い。同程度の物を日本国内の店で購入すると10～20倍くらいの値段になるだろう。

　しかしである、相手は中国のネットショップだ。ちゃんと商品は届くのか？　注文した物と異なる商品が送られてきたりはしないのか？　正直不安である。カード決済になるけれど、覚えのない引き落としなどされたらとても厄介だ。

　そこで近所のジムカーナ仲間に相談してみることに。その方は仕事でよく利用しているらしい。先に書いたようなトラブルがないか尋ねてみたところ、全く問題ないとのこと。本当ですかっ？

　何度も利用しているが、トラブルになったことはほとんどないそうだ。また、万一商品に不備があっても値引きや再送で対応してくれるらしい（英語でのやり取りは必要とのこと）。

　そうですか、大丈夫そうですか―。若干不安はあるものの、利用してみることにした。ここでは購入した商品の検証結果からAli Expressについて思ったところを書いてみます。

　今回注文の直径8mmの緑色と白色の超高輝度LED。値段はそれぞれ500個ずつで約2,000円、合計で約4,000円（送料込み）。安い。おそろしく安い。本当に大丈夫か？

　ちなみにWebサイト掲載の仕様によると消費電流（順方向電流）は150mA、その時の電圧は3.5V前後。つまり消費電力約0.5WのLEDということになる。LEDで0.5Wともなると発熱はかなり大きい。リード線の根元の幅が広くなっているのは放熱のためだろう。

　アカウントを新規作成して注文をしたのは10/23。その後は仕分け中だとか、中国を出発したとか、日本に到着したといったメールが何回か届いた。そして注文から約2週間後の11/4に商品は自宅に配達されたのである。

　郵便で配達された商品。配達員から受け取った妻は怪しげな物が届けられたと思ったらしい。「中国」と書いてあるし、白い包みだから無理もないか。「末端価格」とか言ってしまいそう。

　開梱。とりあえずLEDは入っていた。ワタとか関係ないものが詰められていないかを心配したのだが、さすがにそんなことはなかった。ホッ。

　しかしこの袋に書かれたUSB-2835・・・という表示、中身とは全く無関係。どうもそこらへんに余っていた袋を使ったっぽい。さすがである。

　外袋からの取り出し。緑色、白色とも50個ずつ小分けの袋が10袋入っていて計500個。注文した数量はちゃんと入っていました。

　ラベル印字のバーコードがかすれているのがいかにも中国っぽい。日本の感覚だと許されないでしょう。

中身。緑色、白色ともにWeb掲載通りの仕様の物が入っていました。外観上は。

　点灯テスト。ちゃんと点きました。当たり前か。輝度はかなり高く仕様でうたわれていた10000mcd以上はどうやら出ているよう。眩しい。

　ちゃんと点いたのは良いものの、たまたま点灯させてみた緑色LEDのレンズ内に小さい気泡が混じっているのを発見。値段も値段だし、稀に気泡入りもしかたないよなあ、と思いつつルーペで気泡を拡大してみると、

　あれ、2素子が並列に入っている！　そんなことWeb上の説明にはなかったぞ（撮影用にごく低い電流で点灯）。

　素子を2個入れて輝度を稼いでいるわけですが、LEDの単純な並列接続は故障リスクが高くなるため一般的にはご法度です。素子自体のばらつきや温度ばらつきでそれぞれのLEDに流れる電流は均一にはなりません。そのため片方にはほとんど電流が流れないのに、もう片方には大きな電流が流れるなんてことになります。大きな電流が流れると素子の温度は高くなります。LEDは温度が高くなるとより大きな電流が流れる特性があるのでさらに温度上昇と悪循環に陥ってしまい、最終的に素子が壊れるなんてことになりかねません。

　定格いっぱいの電流とか流さなければ壊れず長く使えるだろうか？　試してみるしかないか。

　ルーペで拡大しての観察のきっかけになった気泡は右上に丸く写っているものです。直径は1mm弱。気泡が混じっているものが他にないか数十個を確認してみたところ、他にこれだけ大きな気泡が入っている物はありませんでした。まあ、普通は気泡が入ってしまっているLEDはゼロなんですが。

　白色LEDの発光部拡大。こちらは一般的なLEDと同様に1個だけの素子でした。これなら2素子並列時の問題は起こりません。

　まとめ。Ali Expressの商品を買うなら、安さと引き換えに何かあるかも？と考えておいた方が良さそう。しっかりした物も中にはあるのでしょうが。今回購入のLEDだと、使えなくはないが説明通りではなかったということです。

　タイム測定器にはOMRONなどのセンサーを使いますが、その模造品っぽい物も多く売られています。模造品でもちゃんと動作するのかもしれませんが、模造品は模造品です。デタラメな物を掴まされるかもしれませんのでご注意を。

LEDの接続使用方法についての参考Webページ

「LEDの使い方&選び方　マルツオンライン」