CL125 その23 キャブレター分解・洗浄

キャブレターの分解点検です。

実はオーナーからはキャブの整備を見たい、という要望をもらっていたのですが

部品発注の都合上、分解点検だけは先行して行います。

というのはインナーパーツの交換にホンダ純正ではなくキースター製を使用する予定なのですが、

HPを確認すると現在在庫が無く納期1ヶ月とのことでした。

春にはとりあえず走れる状態にするために、早めに中身を確認して

部品発注をしなければならないので、分解点検に踏み切りました。

キャブレター。

これは左側です。

スロットルバルブやトップキャップはスロットルワイヤーと一緒に取り外し済みです。

外見からはそれほど痛んでいるようには見えませんが、果たして中身はどうなっているのやら。

ジョイントのエンジン側。

くたびれて潰れたOリングをそのまま使うために液体ガスケットが

多く塗られていてはみ出ています。

Oリング位交換してくれよ・・・。

キャブのエンジン側フランジ部。

ジョイントを外しました。ここには液体ガスケットは塗られていませんでした。

フロートチャンバー。

フロートチャンバーは数本のビスで固定されているのが一般的ですが、

このキャブはコの字型のバンドで固定されています。

バンドをずらすだけフロートチャンバーが外せます。

燃料供給ニップル径メモ:Φ5.2mm(カエリ部Φ6.0mm)

本体とフロートチャンバーの合わせ面。

バンドをずらせば簡単にフロートチャンバーが外れる・・・と思ったら外れません。

合わせ面に白いシール剤のような物がはみ出ています。

どうも分解組立て時にパッキンを交換せずにシール剤を塗って済ませたようです。

中古車では良く見かけますが、パッキン交換すれば不要な作業です。

フロートチャンバーの取り外し。

引っ張っても外れず、プラハンで慎重に叩いてようやく外れてくれました。

相手は40年以上前の部品です、とにかく壊さないことが重要です。

ん?

拡大。

なんと、ジェットホルダーがねじ込まれておらず遊んでいました!

分解前にキャブを動かすとカタカタ音がしていて、

フロートの動く音かと思っていたのですが、どうやらこれが遊んでいたせいでした。

フロートチャンバーの底。

全体的には錆が沈殿しているのですが、一番底の部分だけ

メインジェットが接触していたせいで磨かれています。

ウーム、信じられません。痕跡から判断すると、

ジェットホルダーが外れた状態でオーナーはしばらく乗っていました。

スロットルワイヤーが切れるまでは通勤にも使用していました。

ジェットホルダーが外れたらセッティングどころの問題じゃありません。

燃調はデタラメでとてもまともに走れないと思うのですが。

片側の気筒分の62ccで走っていたのかも。

メインジェット。

フロートチャンバーに接触して摩耗したせいで、番手表示が読みにくくなっています。

下側の部品取り外し。

フロート、スロージェット、フロートバルブ、バルブシートなどを取り外します。

旧車の代名詞の真鍮製のフロートは意外にもほとんど腐食もなく綺麗でした。

フロートだけでなく全体に腐食は少なめでした。意外。

ただしフロートバルブ先端は段付き摩耗していました。交換です。

スロージェットは詰まり気味でした。

ニードルジェットの取り外し。

忘れずに取り外しておきます。

上側から押し出して外します。

アイドルスクリューとエアスクリューの取り外し。

エアスクリューにはワッシャーとOリングが入っている、

と思っていたのですが入っていません。

パーツリストで確認したところ入っていなくて良いようでした。

キャブの分解にはネジ山にぴったり合うドライバーを使いたいです。

先端が平行になっているPB製一択です。

ドレンスクリューの取り外し。

ワッシャー寸法内径Φ6.2外径Φ8.5mm。

フロートチャンバーのパッキン。

カッチカチに硬化しています。問答無用で交換です。

左右のキャブの分解完了。

さすがに右側キャブのジェットホルダーはきちんとねじ込まれていました。

分解写真。

記録です。

ジェット類の番手などをメモとして書いておきます。

メインジェット100番、スロージェット38番、エアスクリュー戻し回転数1-1/2回転。

ただしこれが標準なのかは分かりませんので参考にされる方はご注意を。

キースター製のインナーキットを発注しました。

やはり納期は1ヶ月位かかるようなので気長に待つしかありません。

納品されるまで別の作業をしましょう。

フロートチャンバーのバリ取り。

昔の製造技術のせいなのか、本体との合わせ面に結構大きなバリが出ていました。

ヤスリで除去しておきます。

ジョイントの掃除。

硬化したOリングを外し、無造作に塗られた液体ガスケットを除去します。

あまり楽しくない作業です。しかも時間がかかります。

フロートチャンバーパッキンの除去。

やはりカッチカチに硬化したパッキンを外しますが、樹脂のように固くなっていて割れてしまいます。

残ったパッキンとシール剤もきれいに除去します。

やっぱり楽しくない作業ですな。

次はキャブレータークリーナーを使って洗浄します。

キャブレータークリーナーを使った洗浄。

キャブ本体の各通路にクリーナーを吹き込み、

詰っていないことを確認しつつ洗浄します。

今回はヤマハのキャブレータークリーナーを使いましたが、ラベン製の方が強力なような?

ジェット類。

細かい部品は茶こしに入れておくと紛失しません。

100均で購入しました。

キースター製のインナーパーツを使用するのでこの中には使われない部品もありますが

一旦全て洗浄。

浸け置き洗浄。

私のやり方ですが、次に浸け置きタイプのクリーナーに漬けて洗浄します。

これで外側の汚れも綺麗になります。

説明書きには指定時間(1~2時間)以上連続して漬けてくれるな、

と書いてありますが、私は半日位漬けてしまいます。

ただし、キャブそのものが侵されていないかチェックしながらです。

すすぎ。

灯油ですすぎます。1回すすいだら灯油を入れ替えてもう1回。

洗浄が終わったキャブ。

この後はもうじき納品される予定のキースター製のインナーパーツを組込みます。