CL125 その46 Lサイドカバー内点検

エンジン左側のサイドカバーを外して点検整備をします。

理由は2つあります。

1つは充電不良のためジェネレーターのコイルの状態を確認しておきたいことです。

もう1つはクラッチのレリーズ機構の潤滑状態を確認したいためです。

クラッチレバーを握るとザラザラとしたフィーリングです。

クラッチワイヤーかレリーズのどちらかに問題がありそうなので、

分解してレリーズの状態を確認します。

エンジン底部。

カバーを取り外す前にエンジンオイルを抜き取ります。

オイル漏れの痕跡がありますね。

取り外したドレンボルト。

大型トラックか?というくらい直径が太く、20mm位あります。

オイル量は1リットル少々なのになんでこんなに太くする必要があったのかが分かりません。

抜き取ったエンジンオイル。

何か異物が混じってます!

汚いのは予想通りでしたが異物はマズイ。

異物。

部品の破片のようです。何だろう?

カバーの取り付けねじ。

この時代のバイクのカバー固定にはプラスねじが使用されています。

脱着するとドライバーによる痕跡が多少残りますが、

このバイクのねじにはそれがありません。

なので1度もカバーを外されたことがないのかも。

インパクトドライバー。

プラスねじは固着しているとねじ溝をなめやすいので、

インパクトドライバーで緩めます。

カバー取り外し完了。

内部はスラッジでドロドロかと思ったら意外にもきれいでした。

こちらはカバー側。

ジェネレーターコイルに損傷はありませんでした。

ただし配線の保護チューブはカッチカチに硬化しているので交換したいところです。

クラッチレリーズ機構。

意外にもグリスが残っていました。

古いグリス独特のにおいがします。40年物?

このレリーズ機構、グリスニップルからグリスを注入出来るように設計されていますが、

経路が狭い上に長いので実際グリースガンを使っても

グリスが必要な部分までなかなか到達しないようです。

先日グリースガンで押し込んだグリスは途中で止まっていました。

逆に言うと分解してグリスを詰め込んでおけば相当持ちそうです。

レリーズ内部には鋼球が入っているので紛失に注意。

清掃。

レリーズ周辺にはチェーンから発生した油汚れが大量に堆積しているのでお掃除します。

ジェネレーターコイル。

ハーネスチューブを交換しましょう。

カプラーの取り外し。

端子の爪を外して引き抜きます。

使用しているのは弓ノコの刃を加工した自作工具です。

新品コネクター取付け。

ハーネスチューブを交換し、新しい端子を圧着します。

完成。

電気的にも問題がないかチェックしておきます。

コイル間の短絡、導通、鉄芯への短絡がないかをテスターで確認しておきます。

ニュートラルスイッチ。

ちょっと興味深かったのがこの部分です。

シフトドラム端部がクランクケース外に出ていて、電極が取付けられています。

ニュートラルの位置で接点が接触してニュートラルランプを点灯させます。

矢印の部分にはギボシコネクターを接続します。

しかしこの機構では、チェーン・スプロケットからの汚れが接点を削ったり、

接触不良を発生させてしまいます。実際かなり接点は摩耗していました。

また、オイルシールが1個増えるわけでオイル漏れの可能性も増加します。

現代のバイクではクランクケース内にねじ込んだスイッチで検出しているので、

前に書いたようなトラブルは発生しにくいです。

清掃したニュートラルスイッチ。

取り外して清掃しました。接点も磨いてあります。

クラッチレリーズのオイルシール取り外し。

プーラーで引き抜きます。

オイルシールとOリング交換。

カバー側のOリングも新品交換です。

新品のシール類が買えるのは助かるわ~、と思っていたら・・・、

サイズが合いません・・・。

写真では分かりにくいのですが、シールの内径が微妙に大きく、レリーズの外周がシールされません。

スプロケやチェーンからの汚れや水をモロにかぶる場所なので、シールがとれていないと

レリーズの摺動部のグリスがあっという間に抜けてしまいます。

新旧のオイルシール比較。

仕方ないので古いシールをそのまま使うことにしました。

比較してみるとやはり新品のオイルシールの内径は大きいです。

幸い古いオイルシールもゴムにヒビ割れなどはないので再使用できます。

レリーズの組み立て完了。

レリーズのねじは2条ねじなので、ねじ込み方次第でハウジングとの角度関係が180度逆になります。

クランクケースカバーのグリスニップルからの流路を確保する必要があるので、

写真のように合わせる必要があります。