2020年2月、ぺるけ氏設計のトランジスタ式小型オーディオアンプ、「トランジスタ式ミニワッターPart2」を作ってみました。
製作のきっかけは、使用していたアンプ内蔵PCスピーカーの不調でした。購入から10年以上が経過し、左右の音量ズレが悪化。買い換えか修理も考えたのですが、以前から市販品ではない自作オーディオアンプの音を聴いてみたかったので、自作することにしました。
自作するとは言っても、自分で一から回路設計が出来るわけではありません。Webで探したところ目に留まったのがぺるけ氏設計のアンプでした。回路は片チャンネルあたりトランジスタ4個だけを使用するシンプルなものです。しかし製作してみたところ、その音はとても良いものでした。オーディオは素人なので適切な表現ができませんが、澄んでいて、細密、忠実、と言ったところでしょうか。製作作業も楽しめ、作って良かったと思うのでした。
一旦完成のアンプ。
奥は同時に製作したDAコンバーターです。
暫定で100均ショップで買ったタッパーに収めてみました。
「ミニタッパー」、ですな。
いずれはDAコンバーターとまとめて金属ケースに組み込みます。
全体写真。
一部妙な配線の引き回しがあるのは、スパークキラーの取り付け待ちのためです。
拡大。
ぺるけ氏の作例からは少しアレンジしています。
ラグ板を12Pから15Pに変更し、部品配置に余裕を確保。
入手困難な一部トランジスターの変更。
スイッチ付きボリュームを使って、独立した電源スイッチは無しに。
パイロットランプへの青色LED使用と電流制限抵抗の変更。
コンデンサの一部仕様変更。
配線が目視できるように、渡り配線は表側に引き回し。
出力段。
ダイオードをトランジスタに接着してあります。
トランジスタの温度上昇をダイオードに拾わせるのが目的で、「熱結合」と呼ぶそうです。
アンプと組み合わせて使用しているDAコンバーター。
USBでパソコンと接続、デジタル信号をアナログオーディオ信号へ変換してアンプへ送ります。
電子工作業界では有名な秋月電子通商製のキットに、ぺるけ氏設計のCRフィルタを追加した物です。
組み合わせて使用しているスピーカー。
老舗スピーカーメーカー、フォステクスのキットです。
エンクロージャーボックスに、好みのスピーカーユニットをネジ固定するだけで完成します。
ボックスは10cm口径スピーカーユニット用のP1000-E、スピーカーユニットはFF105WKです。
使用開始当初の音質は硬く感じらました。
しかし、2週間程使ってエージングが進んだ結果、柔らかな心地良い音になってきました。
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さすがにケースが100均タッパーのままでは、見栄えが良くありません。
シールドもないわけで、ボリュームに手を近づけるだけでノイズを拾い、
スピーカーからノイズ音が出ます。
DAコンバーターとまとめて、金属ケースに収納しましょう。
自分なりにアレンジした場所などの写真を載せますが、こまかい突っ込みはご勘弁を。
私はオーディオ機器自作は素人ですので。
正面から。
ケースはぺるけ氏の作例でも使用されているタカチのHEN110420Sです。
シンプルな外観が気に入っています。
上面の穴は、放熱のために出力段トランジスターの真上に開けています。
穴は底面の四隅にも設け、空気が流れるようにしてみました。
背面。
端子類は左右対称にレイアウトしてみました。
内部。
DAコンバーター部。
レイアウト的に苦しくなってしまったので、後付のCRフィルタはユニバーサル基板上に作り直し、
DAコンバーター基板の上に重ねました。
ボリューム部。
配線はボリュームの端子に直付けです。
スイッチ付きボリュームなので、電源ラインも結線しています(黄色線)。
ボリュームツマミはちょっと奮発して高級なものを購入しました。
その名も「高級ツマミ23mm」、825円也。
ケースとマッチしたデザインで良いです。
東信工業の音響用電解コンデンサー、UTSJシリーズ。
通常品から交換してみました。
交換した理由の半分は、音が良くなるかも?という期待です。
そしてもう半分は、地元長野県の企業の製品だから、という理由です。
音の違いは・・・分からないようです、私には。
配線止め。
車のDIY電気部品を販売しているエーモン製の「配線止め金具ミニ」です。
小型で安価(10個で200円弱)なので使ってみました。
ちょうど良く収まりました。
パイロットランプ。
青色LEDをボリューム軸の真下、ツマミで隠れる場所に取り付けました。
ここに取り付けた理由は、
ボリュームツマミを裏から照らしたかったから。
このアイデア、昔どこかで見たような気がします。
それを真似してみました。
天板奥の放熱穴も光っているのは、DAコンバーターキットの基板上の青色LEDが点灯しているためです。
なかなか高輝度で、外にまで光が漏れてきます。
目障りになってきたら、LEDに黒テープでも貼って遮光しましょう。
金属ケースに入れ、アースもきちんと接続したので、
タッパーに入れていた時に発生していたノイズは完全に消えました。
ボリュームを触っても、スピーカーからはノイズの音は聞こえません。
これで一旦完成です。
一旦、としているのは、部品を色々変えて自分好みの音にしていく、という楽しみ方があるためです。
ただ、私の耳では微妙な変化は聴き取れないようなので、色々部品を変えても意味がないかも。
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Part2に続き、Part5も製作してみました。
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2020/11追記
製作に使用したトランジスターについて、問い合わせをいただきましたので書いておきます。
ぺるけ氏オリジナルの回路図では2段目は2SC4408となっています。
しかし入手できなかったので、Webで検索した情報を元に2SC3422に置き換えています。
それ以外はオリジナルの回路図通りで、全て樫木(かしのき)総業の通信販売で購入しました。
下は購入時の価格です。
2SA970-BL 70円
2SC3422 45円
2SA1931 80円
2SC4881 60円
ぺるけ氏のサイトの解説では、使用するトランジスターのhFEについて案内があります。
しかし私は購入したトランジスタの測定はせず、そのまま使っています。
本当は測定、選別するのが良いのでしょうが、良い音で鳴っていて左右差も感じられないので良しとしましょう。