Sinnのメタルバンド修理

あまり有名ではないのですが、Sinn(ジン)というドイツのメーカーの腕時計を所有しています。

航空機の計器のような見易いデザインの文字盤が気に入り、3年ほど前に購入しました。

機械式ですが精度も悪くなく気に入っているのですが、メタルバンドに少し問題があります。

本来は抜けないはずのバンドのピンが抜けてしまうのです。

最初にピンが抜けて無くなってしまったときは、保証期間内だったのでバンドを交換してもらいました。

しかし交換後のバンドでもピン抜けが再発してしまいます。

どうもピンの圧入シロが小さすぎるようです。

今のバンドで実は2回目の修理になるのですが、修理方法を紹介してみます。

バンドから抜けてしまったピン。

前回、別の場所から抜けたピンは紛失してしまいましたが、

今回は抜けかかっている段階で気付いたので紛失せずにすみました。

ただしこのピンを再び打ち込んだとしても、また抜けてしまうのは目に見えています。

そこで、新たなピンを作って打ち込むことにします。

ちなみに矢印前後の穴は、調整用の脱着可能なピンの穴です。

ピンの製作。

4号旋盤(小型旋盤)でも有れば挽いて作りますが、有るはずも無いので、

リューターを利用して製作します。

SUSの線材を回しながらヤスリで少しずつ外周を削り、

コマの穴に対して適度な圧入になるようにします。

ピンの打ち込み。

時計ハンマーで叩いて、コマにピンを打ち込みました。

端部は削り落としてしまうのでペンチで切ったままの状態です。

仕上げ。

リューターでピンを面一近くまで削ったら、

ペーパーで全体に平らにします。

矢印の位置にピンを打ち込んだのですが、ほとんど分からなくなりました。

このバンド、メッキなどの表面処理されていないのが救いでした。

表面処理されていると大胆に削るわけにはいきません。

修理完了。

バンドを本体に戻せば完了です。

おそらくそのうち、他の場所のピンが抜けてきてしまうので、

その時はまた修理することにします・・・。