シバウラ 消防ポンプ修理

私の会社には消防団があり、私もその一員です。

丸腰では火は消せないので消火用の機材を保有していますが、

今日はその修理です。

バイクとは関係がなく、管理人の怒りのメッセージも書いているので

あまり面白くないかもしれませんがご了承下さい。m(_ _)m

シバウラ製エンジンポンプ本体から取外してきた放水コック部。

消防団では防火水槽などから水を吸い上げて放水するために、

エンジン式のポンプを保有しています。

これはその放水操作を行うコックです。中身はボールバルブです。

問題の部分。

矢印のキャップボルトが放水コックレバーの度当りになっているのですが、

このボルトの雌ネジがバカになってしまいました。

・・・こんな設計しやがって・・・ブツブツ。

雌ネジの状態(ピンボケですが)。

もはやボルトがまったく締まらず、ぐらついてしまっていました。

細かい話しですが、このボルトの度当りが効かないと、

レバーの可動範囲が大きくなりすぎてしまい、内部のパッキンが傷んで水漏れの原因になります。

先日水漏れが発生し、傷んだパッキン交換をしたのですが、

何故パッキンが傷むのかを考えた結果、この不具合を見つけました。

リコイル(ヘリサート)で雌ネジを修理します。

分解開始。

ネジ山の修理に邪魔になる物を取外します。

写真はレバーのピボットボルトですが、緩み止めがタップリ塗られていて

外すのに一苦労でした。

ネジ山修理の準備完了。

一旦洗浄しました。

ほとんど雌ネジのネジ山が残っていませんね。

下穴加工。

まずは指定のサイズのドリルで古いネジ山をさらいます。

ペーパーウエスは中に切粉が入らないようにするための養生です。

専用タップでのタッピング。

出来るだけ垂直に立ててタッピングします。

リコイルの挿入。

専用工具でねじ込みます。

リコイルの挿入完了。

ネジ山が再生されました。

雌ネジの確認。

ボルトを入れてみます。

スムースに入ります。修理完了です。

レバーの亀裂。

復元時に見つけてしまいました。

アルミ鋳物なので元々巣が入っていたのか、使用に伴って発生したのかは

分かりませんが、折れる前に交換した方が良さそうです。

組立て完了。

下に写っているのは今回雌ネジの修理に使用したリコイルキットです。

約20年前、バンディット250の修理時に購入したものです。

機械をよく分かっている人ならお分かりでしょうが、この度当りボルト、

この構造では緩んできてしまいます。

緩んだ状態で力がかかると、雌ネジが傷んでしまうわけです。

一旦修理しましたが、再度緩まないように対策が必要です。

リコイルで修理した状態だと緩み止め剤が効くか分からないので、

ボルトに穴を開けてワイヤリングするのが良さそうです。

本来ならばメーカー修理に出すのですが、時間がかかること、

部品が交換されるだけで再発の恐れがあることから自分で修理してしまいました。

リコイルを入れて修理した雌ネジは修理前よりも丈夫です。

この際書いてしまいますが、この部分に限らず、この消防ポンプ、色々問題があります。

一番致命的なのはエンジンが温まっている状態で停止させると、

再始動できなくなることがあることです。

これは消火活動に使用する消防用ポンプとしては絶対に許されないことのはずなのですが、

設計上そうなってしまっています。

バイクの場合、エンジンが温まっているのにチョークを使う人はいませんよね。

そんなことをすればカブって始動困難になるからです。

ところがこのポンプ、オートチョーク機構が始動時に常に作動します。

冷間時、温間時関係なくです。

エンジンが温まっている状態でもチョークが効くのでカブってしまうのです。

チョーク機構はエンジン始動後のマニホールドの負圧でようやく解除されるので、

エンジンがかからない限りは作動しっぱなしで、ますますプラグをカブらせて始動困難になってしまうのです。

では、スロットルを開けてガスを薄くしてなんとかエンジンをかけられないかと思うでしょうが、

バイクと違って消防ポンプにはガバナーという調速装置がついています。

このため、エンジン始動時にスロットルを開けても、実際にはスロットルは開かないのです。

結局、ちょっと細工してオートチョーク機構を殺しています。

チョークが使えないと冷間時に始動できないじゃないか、と言われそうですが、

心配無用、ティクラーがあります。

メンバーにはエンジンがかかりにくいときはティクラーを

使うように指導徹底しているので問題は起きていません。

かなりマニアックな内容を長々と細かく書いてしまいましたが、

車、バイクならリコールレベルの問題だと思います。

次回購入は当分先だと思いますが、同じメーカーのポンプの購入は出来れば避けたいところです。

問題の消防ポンプ。

見た目は悪くないんですけどね。

あちらこちらに設計上、オヤッ?っと思う箇所だらけです。

次は違うメーカーを選定しようっと。