もっと簡単な方法はないか。
専用の工具、道具を使わなくても出来る方法はないか。
良い意味でラクができる方法はないか。
私は時々そんなことを考えてしまいます。
タイヤの交換後は、タイヤを組んだホイールのバランスをとる作業を行います。
重さに偏りがあってバランスがとれていないと、高速走行時にハンドルや車体が振動するためです。
作業には専用のホイールバランサーを使いますが、その仕組みは単純です。
アクスルシャフトの代わりにバランサー付属のシャフトを差し込み、それをベアリングで支えます。
ホイールは自然に回転して、最も重い部分が下になって止まります。
その反対側にウエイトを貼り付けてバランスさせ、偏りをなくします。
私は考えました。
わざわざ専用のホイールバランサーを使わなくても、車体を利用して同じことができないか。
回転の抵抗になる物を取り除けば同じことができるのはないかと。
車検に向けたホイールベアリングの点検でホイールを外した際、試してみました。
先に結論を書いてしまうと、車体を使った方法では不十分で、ホイールバランサーは必要でした。
ここからは検証の様子ですが、まずは通常バランスとり作業に使うホイールバランサーの紹介します。
ホイールバランサー。
セットしているのはZX-14Rの前輪です。
どの位までのアンバランスが確認できるかというと5g程度です。
5gのウエイト。
一般的な市販品では最小の重さ、小さいです。
これを既にバランスが取れているホイールに貼り付けると、
このようにウエイト部分が下になるまで回転します。
つまり、5g程度までのアンバランスが確認できます。
バランサーのシャフト支持部。
シャフトはベアリングで支えられます。
これによって回転抵抗は小さく、シャフト、ホイールは軽く回転できる仕組みです。
それでは同じことを車体で試してみます。
車体での実験。
回転の抵抗になるものがあるとわずかな重さの偏りが確認しにくくなります。
そこでブレーキキャリパーは取り付けていません。
ブレーキパッドがディスクにわずかに擦れるためです。
アクスルシャフト両端にセットされるカラーもオイルシールと擦れるので通していません。
このホイールはバランサーで調整済み、バランスが取れています。
ウエイトを徐々に足していき、回転し始める重さを調べます。
回転し始めたときのウエイト。
10gのウエイトを1個ずつ貼り付けていったところ、30gになった時点でようやく回転し始めました。
つまり概ね30g以上の偏りは確認でき、それより軽い偏りは確認できないことになります。
ホイールバランサーと比べて、ホイールの回転抵抗が大きいのが差がついた理由です。
30gの偏りは走行時に影響を与えるかどうか。
サービスマニュアルにはこのように書かれています。
「通常、10g未満のアンバランスであれば運転の安定性に影響を与えることはない」
つまり車体を使ってのバランスとりは、30g以上の偏りでないと確認できないため不十分です。
結論としてはホイールバランサーは必要ということになりました。
惜しい。
ホイールバランサーは必要という結論になり、私の思惑、予想は外れました。
しかし実際に検証してみたことでスッキリしました。
何でも実際に試してみるのってオモシロイ。