インジェクター

スロットルボディの心臓部、インジェクターなどを徹底的に調べました。

インジェクター先端部の精密さには驚かされました。

スロットルボディ上部のインジェクターとデリバリーパイプ。

デリバリーパイプの固定ネジはかなり強く締まっていて、緩める際はネジ頭をナメそうになりました。

取り外したインジェクター、デリバリーパイプなど。

デリバリーパイプはインジェクターの固定の役割も兼ねています。

インジェクター。

デリバリーパイプ側にはOリング、スロットルボディ側には「インシュレーター」が組み合わされます。

インシュレーターの日本語訳は「遮断するもの」です。

スロットルボディからの振動がインジェクターに伝わりにくくする役割のようです。

当然ながら気密を保つ役割もありますが。

日本インジェクター社製を示すマーク。

同社についてWebで調べたところ、ドイツボッシュと三菱電機2社の出資会社でした。

ZX-14Rのインジェクターにも同じマークがありました。

コネクター。

奥にLICENSE BOSCHと記されています。

ボッシュのライセンス生産品のようです。

フィルター。

デリバリーパイプの接続部直後にフィルターが入っています。

フィルターは樹脂でモールドされていて、黄銅製のブッシュを介して圧入されています。

先端部。

薄いプレートにガソリンが噴射される穴が8個開いています。

周囲は溶接されています。

右横の木炭のようなものはシャープペンシルの芯で、穴の大きさ比較のために入れてみました。

シャープペンシルの芯は0.5mmなので、穴径は0.2mm前後でしょうか。

しっかり観察すると、表面の穴の奥はさらに小さな穴になっています。

後ほどさらに詳しく調べてみましょう。

断面。

がんばって切ってカットモデルにしました。

右側にデリバリーパイプが接続されます。

ガソリンはフィルターを介して左側の先端部へ供給されます。

先端部拡大。

鋼球と円錐状の受けでバルブが構成されています。

構造図。

図を描いてみました。

コイルに通電すると磁力が発生してプランジャーが引っ張られます。

すると先端のバルブが開き、燃料ポンプで加圧されたガソリンが噴射されます。

図ではプランジャーの作動ストロークを誇張して描いています。

実物を手で動かしてみた感覚では、プランジャーの作動ストロークは0.1mmかそれ以下位のようでした。

先端部プレートの表側拡大写真。

当初はここまで分解するつもりではなかったので、いびつになっているのはご愛嬌。

左上写真の赤枠部を切り取った物です。

下は金属製スケールの目盛りで、1目盛りが0.5mmです。

なので、表側の穴径は0.25mm前後ということになります。

右下の棒状の物はシャープペンシルの芯、ではなくて私の髪の毛です。

比較対象に映しこみました。

同じく裏側拡大写真。

スケールと比較すると、裏側の穴径は0.2mm位ということになります。

凄まじく精密な加工技術に脱帽です。

あくまで私の推測ですが、形状や表面の加工痕からすると、プレスやラップ(研磨)で製造されているのではと思います。

先端部拡大図。

内側の穴に対して、外側の穴はわずかに大きくかつ外側にずれています。

これによってガソリンを放射状に噴出させているようです。

動作アニメーション。

画像形式の一種、アニメーションGIFを作ってみました。

仮にエンジンが毎分1万回転なら、4サイクルエンジンではその半分の毎分5000回の吸気が行われます。

1秒あたりでは80回ほどです。

吸気タイミングと同期してガソリンは噴射されるので、この動作も1秒あたり80回行われていることになります。

10万、20万キロと走るには、何回動作することか。

すさまじい耐久性に敬服します。

もしも、バルブが閉まらなくなってしまったら。

ガソリンは出っ放しです。

すると燃焼室はガソリンで徐々に満たされ、最終的にはコンロッドが曲がるかもしれません。

そんなことは絶対にあってはいけないわけで、これを生産する工場の生産技術部門の担当者は、

品質確保に苦労されているかも。

分解して調べたことではっきり分かりましたが、インジェクターの先端部は精密です。

スロットルボディ周りを整備する際、インジェクター先端部に安易に触れるのは避けたほうが賢明です。

穴に異物を付着させたり擦りこんでしまうと、ガソリンの噴射形状が狂ってしまうことが予想されます。

ケミカル類を使っての洗浄も慎重に行ったほうが良さそうです。

この記事、私の推測をかなり書きました。

間違いがあればお知らせ頂けると助かります。