またもバイクの電装部品を分解して調べてみました。
今回は転倒センサーです。
金属球と接点が組み合わされたスイッチか、などと適当な予想をしていたのですが、
そんな簡単な物ではありませんでした。
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バイクが転倒した場合、エンジンが回り続けてしまっては危険です。
キャブレター車では、フロート室からガソリンが正常に供給されなくなるのでエンジンは止まります。
運悪く?なぜかエンジンが止まらないこともありますが。
しかし、インジェクション車ではそうはならないので、エンジンを止める仕組みが必要です。
転倒センサーは車体に取り付けられていて、転倒を検出してECUへ信号を送り、エンジンを停止させます。
今回分解の転倒センサー。
例によってヤフオクで入手、価格は99円でした。
平成20年式のホンダ プレスカブ50用とのこと。
カブもインジェクションか・・・。
そんな私は昭和生まれ。
中央には取り付け指示方向と55の数字が書かれています。
数字はセンサーの作動角度を示すようです。
中身。
ツメを外して分解しました。
振り子と小型の基板が入っています。
振り子。
樹脂で出来ていますが、下側には黄銅製のウエイトが埋め込まれています。
磁石も埋め込まれているようで、クリップがくっつきます。
右下は振り子の軸とカラーです。
基板。
どうやら中央にあるのは、「ホール素子」が内蔵されたホールICのようです。
ホール素子は磁力変化を捉えるセンサーです。
センサーが傾くと、中身の振り子が回転します。
すると磁石がホール素子に接近して電気信号が出力される仕組みです。
ホール素子はノートパソコンのディスプレイの開閉検出にも使われているとか。
ケースの切断。
何をしているかというと、
カットモデルを作りました。
動作が見えるように窓を開けました。
動作実験。
センサーのコネクターには3本のピンがあります。
そのうち2本が正負の電源接続用です。
他車種のセンサーの情報で調べたところ、電源電圧は5Vが多いようなので同じだろうと推測し5Vを供給しました。
残りの1本のピンがセンサー出力で、転倒していない状態では約4Vが出力されています。
転倒状態。
センサーを傾けると、出力は約0.8Vになります。
ECUはこの信号を元にエンジンを停止させるわけです。
ちなみにエンジンを再始動させるには、キースイッチを一旦オフにしてから再度オンにする必要があります。
転倒時は焦っていることが多いので、この操作を忘れて再始動できず、ますます焦りそうです。
私の場合、幸いZX-14Rを転倒させたことがないのですが、いざ転倒したらこの操作を忘れそうです。
ウイリーとかジャックナイフを披露するためのバイクは、このセンサーの機能を無効にしているんでしょうね。
オフ車でレースする人達も、転倒後のリカバリーを早くするために無効にするとか。
四輪車にはこのセンサー、あるんでしょうか???