本格的に整備開始です。
まずはフロント周りからです。
ブレーキの整備とホイールの点検を行います。
アクスルシャフトのクランプボルトを緩めます。
クランプボルトはトルクスですが、アクスルシャフトは内六角です。
どちらかに統一した方が工具も少なく出来て合理的な気がするのですが、
この辺りがドイツ魂なんでしょうか!?
フロントホイール取り外し完了。
アクスルシャフトを緩めて抜き取り、ホイールを取り外します。
右側(ブレーキディスク側)に薄いカラーが入っているので紛失に注意です。
エンジン下部をあらかじめジャッキで支えておくのも忘れないように。
ブレーキキャリパー取り外し。
ブレンボ製です。
これも国産車とは異なり、マウントボルトにはワッシャーが入っていました。
国産車でワッシャーが入っているのは見たことがありません。
キャリパー取り外し完了。
2ポッドの片押しピンスライドキャリパーです。
それなりに汚れています。
もう少し分解して洗浄しましょう。
まずはパッドピン抜け止めのベータピンを抜き取ります。
パッドピンの抜き取り。
ベータピンを抜いたら、パッドピンを抜き取ります。
しかしパッドピンは圧入されている上に、端部は奥まっています。
そこで、ピンポンチで叩き出します。
キャリパー単体でも作業できなくはないのですが、やりやすい作業ではありません。
キャリパーがフォークに固定されている状態で作業した方が良かったかも。
洗浄。
洗剤とブラシで洗います。
ピストンも出来るだけ繰り出して、外周を洗います。
ブレンボ製キャリパーの特徴ですが、ピストンがコーティングされています。
腐食されにくく、動作が滑らかなのが良いです。
パッド。
ブレンボ純正でした。
走行距離から考えても、新車装着のパッドのようです。
残厚約2mm強、継続使用します。
パッドピンとベータピン。
パッドピンにはC型のリングが入っていて、抜け止めになっています。
軽い錆は落とし、防錆と潤滑のためにグリスを薄く塗っておきます。
ただし場所が場所だけに、雨天走行でグリスはすぐに無くなってしまいます。
錆などで表面の荒れが大きくなってきたら交換するのが良いでしょう。
ピストンの潤滑。
ブレーキピストン潤滑の定番、CCIのメタルラバーをピストン外周に注します。
ブレーキレバーを操作してピストンを繰り出しては戻し、
ピストンの動きに引っ掛かりがないことを確認します。
ピンの状態確認。
ピンスライドキャリパーは文字通り、ピンが滑らかに動くことが重要です。
動きが悪いと、ブレーキの効きが悪くなったりパッドが片減りしたりします。
そこでピンを引き抜いて状態を確認します。
ゴムブーツに破れなどなく、きちんと機能していたおかげで、状態は良好でした。
きれいなグリスで満たされています。
シリコングリスを少し足して再組み立て。
キャリパーへのパッド組み込み。
ここからは組み立てです。
パッドを組んで、パッドピンを圧入するのですが・・・、
キャリパー表面よりも内側にピンを圧入する必要があるので、
プラハンだけでは圧入しきれません。
仕方ないので、
再びピンポンチとハンマーで圧入。
キャリパーを外した状態だと、手が3本ないと作業できません。
そこで、キャリパーをフォークに取り付けてから作業しました。
抜け止めのベータピン挿入。
パッドピンに挿入します。
文字ではうまく説明できませんが、このピン、
抜け止めだからといって、適当な向きに入れてしまうと
パッドとキャリパー本体の間に挟まれてしまいます。
するとパッドがキャリパーから浮いてしまい、
正常にブレーキが利かなくなってしまいます。
なかなかドイツBMW・イタリアブレンボ連合は手強いですな。
国産車とは異なり、気を遣わなければならない点多数です。
後編へ続きます。