エンジンから取り外したクラッチの部品をじっくり点検します。
取り外したクラッチ板。
フリクションディスクの厚み測定。
5枚について2,3箇所ずつ測定しましたが全て2.90~2.95mmでした。
標準値2.9~3.0mm、使用限度2.6mmなので摩耗については全く問題ありません。
フリクションディスクの表面の状態。
摩耗は問題ありませんでしたが気になったのがこれ。
表面がカチカチに硬化しています。
プレート。
焼けなどは見られませんが、若干摩耗したような痕跡があります。
歪みの点検。
サービスマニュアルの通りにやってみました。
定盤の上に置き、シクネスゲージをプレートと定盤の間に入れて歪み量を測定する方法です。
正直判定しにくい方法ですが、歪みはほとんど無い様でした。
0.05mmのシクネスゲージも入りません。マニュアルによると使用限度は0.2mmです。
ちなみに定盤が無いのでガラス板で代用しています。
歪みの点検その2。
マニュアルの方法では分かりにくいので、手で直接プレートを押してみます。
歪みがあればガラス板の上でガタつくはずですが、ガタは感じられません。
やはり歪みはほとんど無いと判断しました。
クラッチセンターの点検。
当然ながら接触痕はありますが、大きな凹凸を感じるほどではなく問題ありません。
ディスクの当り面も綺麗です。
プレッシャープレートの点検。
こちらも均一にディスクが当たっていて問題無し。
クラッチアウターの点検。
エンジンから取り外した時に点検していますが、再度点検。
接触痕はありますがこちらも大きな凹凸を感じるほどではなく問題無しと判断。
クラッチスプリングの点検。
4本とも32.5mm前後で問題無し。
標準値33.2mm、使用限度30.0mmです。
クラッチリフター機構の点検。
こちらも問題ありません。
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クラッチの引きずりの原因ですが、フリクションディスク表面が経年劣化によって硬化していて、
クラッチプレートと貼りついてしまうのが理由と推測しました。
Webで調べたところ、長期放置の同エンジンで同じ症状の例を見つけています。
そこで、フリクションディスクとプレートを全て交換してみます。
部品が入手できるかがちょっと心配ですが・・・。
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部品は無事に購入できました。ホッ。
フリクションディスクとクラッチプレート。
フィリピン製。
クラッチ関係以外の部品も購入したのですが、生産国は様々でした。
オイルシールはインドネシア製、ケースカバーガスケットはタイ製、キャブ関係は日本製でした。
調達部門は大変です。
表面状態比較。
左が元々付いていた物、右が新品です。
元々付いていた物は表面がツルツルになっていて光沢があります。
新品はザラザラで、少し柔らかさもあります。
キックペダルシャフトのオイルシール交換。
油汚れでデロデロでした。傷んでオイル漏れが発生している可能性を考えて交換します。
傷防止のためにウエスをあてておいて、大型のマイナスドライバーでこじって外します。
新品のオイルシールの圧入。
板を介して押し込むと斜めになりにくいです。
オイルフィルターローターの洗浄・点検。
遠心力でオイル中のゴミを分離する機構です。
スラッジの堆積。
外側には少しですがスラッジが堆積していました。
洗浄完了。
次は組立てです。