ステンメッシュブレーキ
ホース製作取り付け

新規作成 2013
更新 2020/9


 レーキホース破損すればブレーキ効かなくなり、死亡事故にも直結します。ここでは製作・交換の作業を紹介していますが、参考にする場合は十分理解の上で、くれぐれも自己責任で作業を行って下さい。ホース切断、フィッティング取り付け、車体取り付け後のエア抜きなどは単純な部品交換とは異なり簡単ではありません。

 また、単品のホースやフィッテイング部品は安価ではないため、市販品と比べて必ずしも安上がりにもなりません。ースを切断する工具も必要です。微妙な長さ調整をしたい、何でも自分で製作したいという方以外にはおすすめしません。

 ハンドルアップスペーサーの取り付けやブレーキレバー角度の調整の影響で、ZX-14Rのフロントブレーキホースが突っ張り気味です。もっとレバータッチを良くしたい目的もあって、ステンメッシュブレーキホースを自作して交換します。

  以前製作した手持ちのステンメッシュブレーキホース。回はこれを分解して組み替えます。フィッティング類はアールズ製です。私が使うのはステンレス製のフィッティングです。アルミ製は強度的に不安なこと、腐食に弱そうなこと、青・赤の色が気に入らないためです。特にあの青・赤のカラーリングは全くなじめません。

 バンジョーアダプタとメッシュホースの接続図。ナットを締め込んでいくと、テフロンホースとステンメッシュが固定される仕組みです。

 バンジョーアダプタとメッシュホースの接続図。ースは1mで2,520円、オリーブは10個1,800円でした。左の部品がオリーブで、ホース先端に組み込みます。一度組むと潰れて変形するので再使用は出来ません。

 以前製作したホースの分解。ナットを緩めてバンジョーアダプタを外します。小型のもので十分なのでバイスがあった方が作業が楽です。バイス固定時はアルミアングルを介して、バンジョーアダプタの座面を痛めないように保護します。

 ナットを緩めます。ほとんどの場合ナットは固着しています。ホースをクランプしておき、ナットを回して緩めます。

 オリーブの取り外し。緩めたナットをずらしてオリーブを外します。ペンチでつかんでこじれば外れるはずです。

 分解完了。前述しましたが、オリーブは新品に交換が必要です。

 ここからは組立てです。

 ホースの切断。使用しているのは小型切断砥石使用のカッターです(2020年購入)。ホースを安全かつきれいに切断できます。

 このカッターキソパワーツール社のミニカッティングソウという物です。直径50mmの切断砥石が回転して材料を切断、実売価格で13,000円でした。メッシュホース切断に最適ですが、個人がその目的だけで購入するのはちょっともったいないです。逆にホースを度々製作するショップなら購入はありでしょう。私はメッシュホース以外にも色々切るので買ってしまいましたが。

 白い板はプラ板は切粉の飛散防止用です。切粉が周囲に舞うと厄介なので製作して取り付けました。

 切断後の断面。被覆が溶けているので荒れて見えますが、メッシュホースはあまりばらけず切断出来ています。

 テフロンホース内側のバリ取り。バリをとりつつ、わずかに面取りします。面取りは後でバンジョーアダプタを挿入しやすくするためです。写真のようなバリ取りがあると作業が楽ですが、カッターナイフでも作業できます。

 被覆剥き。電線と同じようにカッターで切り込みを入れて剥きます。私の場合、被覆を剥く長さは12~15mm位にしています。メッシュの断面は指に刺さりやすいので注意!

 バリ取り・被覆剥きが済んだ切断面。これでテフロンホースの組立て準備は完了です。組立て前には内部をエアブローしてゴミを除いておきます。

 ナットの挿入。ステンメッシュが引っ掛かりますが、回しながら押し込むとスムースに入ります。

 オリーブの挿入。新品のオリーブをテフロンホースに被せて押し込みます。しかし、簡単には入らないはず。そこで、

 滑りにくい手袋をしてホースをつかみ、木材にオリーブを打ちつけます。この時、オリーブとテフロンホースの間に隙間が残らないようにします。(次の図参照)。

 オリーブの挿入。図のようにオリーブ内側にはカエシがあります。そのため簡単には挿入できないのですが、テフロンホース端面との間に隙間が残らないようにします。

 オリーブが完全に挿入された状態。ホース端面内側はわずかに面取りしているのでオリーブとホース端面との間に隙間があるようにも見えますが、実際には隙間はありません。

 バンジョーアダプタの接続。差し込んでからナットを締めます。カジリを防ぐためにネジ山にはオイルかグリスを少し塗ります。

 ナット締め付け作業の例。10mmのボルト、ナット、ワッシャーを利用してバンジョーアダプタを固定しておいて、ナットを締め付けます。強力なバイスで挟んでおくのが簡単ですが、バイスを準備できる人は少ないと思うので代わりの方法です。

 ナットの締め付け完了。あくまで私が作業する場合の目安ですが、バンジョーアダプタのねじ山が隠れる位までナットを締め付けます。

 完成。私はメッシュホースの被覆を剥いた箇所が露出するのが嫌なので、内径8mmの熱収縮チューブをかぶせています。

 右は角度が振れるバンジョーアダプタを接続するためのものですが、作業方法は同じです。

 車体への取り付け作業。今回は手持ちのブレンボRCSラジアルマスターシリンダーも取り付けるため、まずはノーマルのマスターシリンダーを外しました。

 ホースの長さ調整。片方のフィッティングを取り付けて仮止めしておいてから長さを決めてホースを切断、もう一方のフィッティングを取り付けとすると楽です。切断位置白いマーカーでマーキング。

 完成。マーク位置でホースを切断、フィッティングを取り付けて完成です。ノーマルのクランプをそのまま使いたいのでクランプ用のラバーも挿入しています。

 ホース交換時必須の確認作業。ボルトをねじ込んだ時に出来る隙間が、バンジョーより狭い必要があります。でないと当たり前ですが固定シールされません。万が一ボルト先端が底付きしているのに気付かずに無理に締め付ければ、シール出来ないばかりかボルトをねじ切ってしまう恐れあります。

 バンジョーボルト比較。左は純正。対して右側のブレンボのRCSラジアルマスターシリンダーに適合するバンジョーボルトのピッチは1.0mmです。

 コニカルシールの挿入。角度が振れるバンジョーアダプターのテーパー座面には、柔らかいアルミ製のコニカルシールを入れてシールします。

 取り付け完了。レバーストロークは短く剛性感のあるタッチ私好みになりました。

 ZX-14RへのブレンボのRCSラジアルマスターシリンダーの取り付け詳細についてはこちら。

ブレンボRCSラジアルマスターシリンダー取り付け

 ホースの製作過程で意外に難しいのがステンメッシュホースの切断です。ホースを潰さず、メッシュをばらけさせずに切断する必要があります。ここからは色々な方法の紹介です。

 リューターに切断砥石をつけたリューターでの切断。以前はこの方法で切っていました。きれいに切れます。

 しかし薄い切断砥石は突然割れたりするので危険です。作業時は保護メガネ着用必須。

 ハンドグラインダーでの切断。厚さ1mmの切断砥石を装着しています。これで切ってみた結果は、

 切断断面。左・・・被覆無しステンメッシュホースをそのまま切断。中・・・被覆無しステンメッシュホースにハーネステープを巻いてから切断。右・・・被覆付きステンメッシュホースをそのまま切断。

 いずれもホースを潰さずに切断できていますが、多少メッシュがばらけたり、曲がったりしています。ステンレス線が切断可能なニッパーで整えてから組立てましょう。被覆無しのステンメッシュホースのメッシュがばらけるのを防止するためにハーネステープを巻いてから切断してみましたが、結果はあまり変わりませんでした。

 ワイヤーカッターとペンチ。結果は予想できますが、試しにこれらでも切断してみました。結果は、

 潰れてしまった断面。単純に切るだけなら切れます。しかし潰れがひどく、とてもフィッティングを組み立てることはできません。

 おまけ。「バンジョー」と「オリーブ」の名前の由来について推測してみました。

 「バンジョー」。こういう形の弦楽器を「バンジョー」と呼ぶそうです。なので、形が似ている部品をバンジョーと呼ぶようになったと推測。

 種を抜いた「オリーブ」。こちらもバンジョーと同じく形が似ているので、オリーブと呼ぶようになったのではないかと推測します。あくまで私の推測なので、間違っていても知りませんが・・・。