タンクカバー修理 2023/2

 情けない。整備中にタンクカバーを破損させてしまった。

 先日のクーラント漏れ点検の時のこと。取り外したカウルやカバーを並べて置いていった時、タンクカバーから手を滑らせて落としてしまったのだ。落とした時の高さは50~60cm位。これくらいなら無事と思いきや、ツメの部分を割ってしまった!

 うーむ、情けない。バイクをいじり始めた頃はまだ未熟だったから整備中に色々やらかした。部品を無くす、ボルトやネジの頭をなめる、ボルトを締めすぎてネジ山を壊す。

 そうだ、エンジンオイル交換時にドレンボルトを外したまま新しいオイルを注いで、地面にぶちまけたこともあったっけ。青かった、いやアホだったというべきか。

 最近はまあそれなりに経験を積んで、段取りなんかもよく考えるようになったのでほとんどミスをすることはなくなったのに、久々にやらかした。情けないったらない。トホホ。


 ツメの部分の破損はそのままにしても実害はなさそう。しかしそのままでは気持ち悪いこと、修理を試してみたい理由もあるので修理をすることにしたのである。

 タンクカバーの割れたツメ。黒いインナーカバーのツメをひっかける部分です。落とした時にここから着地した模様。運が悪かった。

 タンクカバー裏面の材質表示。「PA6/ABS-T10」とあります。

 「PA6」はポリアミド、通称ナイロンです。柔軟性があって衝撃に強い。それを従来からカウルによく使用されるABSと混ぜた材質のようです。

 ABSはアセトンなどの溶剤に溶けやすく接着しやすい材料です。一方でナイロンは接着しにくい材料の1つ。接着剤は色々ありますが、ナイロンは接着不可としているものがほとんどです。

 試しに破断面にアセトンを付着させてみましたが、ほとんど溶けません。

 どうやって接着しようかと考えていたところ、ホームセンターである接着剤を見つけました。

 弾力性エポキシ樹脂系接着剤「MOS8」。一般的な接着剤が苦手とするシリコーンゴムやナイロンの接着も可能とのこと。

 ナイロンを含む材料をうたい文句の通りにこの接着剤で接着、補修できるのか? それが今回修理することにした理由の1つです。

 接着面の塗装剥がし。リューターに小型ワイヤーブラシの組み合わせです。

 さすがに破断面の接着だけでは強度が期待できません。そこで裏側から補強板をあてて強度をかせぎます。そのために塗装を剥がしました。

 補強板の形合わせ。厚さ2mmのABS板を切り出し、曲面に合わせて曲げました。ABS板はジムカーナ用タイム測定器製作で使ったものです。

 接着。A剤とB剤、混ぜ合わせた接着剤を塗って貼り合わせます。

 接着完了。これは24時間経過後。接着剤の説明通り、固まっても弾力があります。硬めのグミキャンディー位でしょうか。

 表面から。

 接着できましたが、ガッチリ感はありません。接着剤自体に弾力性があるので当然といえば当然です。

 ただし一般的な接着剤だと接着もできないわけなのでヨシとしましょう。

 もしかすると、塗装を剝がさずに一般的なエポキシ接着剤で接着した方が頑丈だったかも?

 車体に組付けたカウル。元通りになりました。

 しかしさほど力はかからず見えない部分でもあるので、直さなくても良かったのは前に書いた通りです。やっぱりそもそも壊しちゃダメですね。

 バイク整備は、無くさない、壊さない、汚さない。