サスペンションセッティング

ZX-14Rに乗り始めてから1年近く経ちましたが、乗り心地やコーナリングで違和感を感じ続けていました。

最初は慣れの問題かと思っていたのですが、どうもそれだけではないような気がしてきました。

具体的には、こんなことを感じています。↓

サスがしなやかに動いている感じが無く、路面の凹凸を拾う、収束しにくい。

コーナーで倒しこんでいるときの安定感・接地感が無く不安に感じる。

思ったように曲がっていかない。

そこで、手をつけていなかったサスを調整してみることにしました。

ネット上で色々情報収集すると、リアのプリロードが高すぎるようなので、

まずはリアのプリロードを弱めてみることにしました。

リアショックユニット。

モノサスのバイクならどの車種でも似たようなものだと思いますが、

ショックユニットは奥まった位置にあり、非常にアクセスしにくいです。そこで、

ステッププレートとチェーンカバー取り外し。

サービスマニュアルの指示に従って取り外します。

取り外したチェーンカバー。

せっかくの機会なので掃除します。裏側は飛び散ったチェーンルブでデロデロです。

スプリングの位置決めナットにマーキング。

ステッププレートとチェーンカバーを取り外すとようやくリアショックユニットにアクセスしやすくなります。

場所が場所だけにかなり汚れているのでまずは掃除します。

その後でナットにマーキングして何回転回したか分かるようにしておきます。

写真赤のマーキングをしました。

フックレンチでは緩まなかったので叩いて緩めます。

フックレンチで上側のナットを回せば緩むと考えていたのですが、

下側のナットと共回りしてしまいなかなか緩みません。ラスペネ(浸透潤滑剤)を吹いても緩まなかったので、

スティール製の棒を引っ掛けて叩いて緩めました。

使った工具。

真ん中の長いボルトでナットを叩いて緩めました。実はこれ、ZXR250のエンジンマウントボルトです(だったと思う)。

部品取りの同車から外し、先端のネジ部をカットして叩き用に改造した物です。

長くて丈夫なので何かと重宝しています。

長い貫通型のマイナスドライバーでも良いと思います。

フックレンチはナットを緩めた後で使いました。サイズは70~75mmです。

プリロード調整前後比較。

左が調整前、右が調整後です。今回は2回転緩めてみました。

ショックユニットのネジピッチは1.5mmでしたので、3mmプリロードを弱めたことになります。

さて、調整後はリアからの突き上げが減り、コーナリング中の安定感・安心感が増したように思います。

接地感を感じられるようになってきました。

ただ、フロントの突き上げがまだ強く、フォークがよく動いていない印象です。

次はフロントフォークのプリロードを少し弱めてみたいと思います。

フロントフォークのアジャスター。

フロントのプリロードはこのナットを回して調整します。標準値はナットの突き出し長さが14mmです。

今回は2回転戻して16mmにしてみました(1回転で1mm可変)。

調整に使った工具。

プリロードアジャスターのナットはアルミで柔らかい上に、長さも短いために工具の掛かりが浅く、

なめたり傷を付けたりしやすいのでしっかりした工具を使いたいところです。

私は14mmの1/4sqソケットにドライバハンドルをつけて作業しています。

頻繁に調整するのであれば社外品のイニシャルアジャスターを取り付けたほうが良いかもしれません。

さて、フロントのプリロードも弱めたわけですが、ようやく前後サスがしなやかに動いて

ショックを吸収するような感じになってきました。

この位のプリロードをベースに次はダンパーも調整していきます。

ただ、問題が一つ。リアのショックユニットのダンパー調整ネジですが、

マイナスの溝の幅が広いわりに短く、ぴったり合うドライバーがありません。

何度も回すことになる上にアルミ製で柔らかいので、そのうち痛めて回せなくなってしまいそうです。

そこでまずは調整ネジにぴったり合うドライバーを用意することにします。

リアショックユニットのダンピング調整ネジ。

締めこんでいくとネジの頭が表面より入り込むので幅の広いマイナスドライバーは使えないのです。

逆に幅の狭い薄いドライバーでは溝にフィットしないので痛めてしまいます。

改造用に購入してきたマイナスドライバー。

先端厚さ約1.3mm、幅8mmとかなり大きく、通常の整備作業ではあまり出番が無いサイズです。

改造前後比較。

左が元の形状、右が改造後の形状です。両側をリューターで削って幅を約5mm位に小さくしました。

これでねじ山にピッタリです。

圧縮側ダンパー調整の状態。

フレームの穴からドライバーを入れるのですが、位置関係から斜めになってしまいます。

わざわざドライバーを改造までしたのにはこんな理由もあるのです。

ネジに対して斜めな上にサイズが合っていないとねじ山を痛めるのは必然です。

工具の準備も出来たので、色々セッティングを変更していってみたいと思います。

セッティング表

ここで遅ればせながら、乗車状態でのサスの沈み込みを測り、サグ出しをしてみます。

フロント側。

まずはフロントタイヤを浮かせて、フォークダストシールからブラケットまでの距離を測定。130mmでした。

次にインナーチューブにタイラップを巻いておいて、静かに乗車してから沈み込み量を測定。

リア側。

フロント同様にタイヤを浮かせた状態で、シートカウルの出っ張った部分からアクスルシャフトまでの距離を測定。

392mmでした。測定しやすいようにアクスルシャフトに十字を書いたマスキングテープを貼っています。

次に静かに乗車した状態で同じ箇所を測定しました(カミさんに測ってもらいました)。

測定結果は下記のようになりました。Webで調べるとフロント、リア共に

一般的とされる範囲(ホイールトラベルの30~33%程度)からは現状のプリロード設定で

リアは外れていないようです。フロントは標準のままで良いということになりますが、突き上げ感があるので16mmで良いかな?

ちなみに測定は体重80kgの管理人がハンドルアップスペーサー10mmを入れた状態で乗車した際の測定値です。

フロント(ホイールトラベル117mm)

構造から言って当たり前ですが、プリロードを動かした分と同じだけ沈み込みが変化します。

リア(ホイールトラベル124mm)

プリロード

175.5mm(標準)

178.5mm(-3mm、2回転緩め)

乗車時

沈み込み

(mm / %)

34mm / 27%

40mm / 32%

フロントフォークと異なりリンクを介しているため、プリロードを1mm動かすと概ね2mm沈み込みが変化します。

タイヤが摩耗していてまともなハンドリングでなくなり、

セッティング云々の話しが出来ないのでしばらく作業休止中です。

タイヤを交換してお山の雪が溶けたら作業再開することにします。

2014/5/17 追記

・・・春になってお山の冬期閉鎖が解除になり、

タイヤも交換済みなのでダンパーのセッティングに出掛けてみました。

セッティング用工具。

タンクバッグに入れて出掛けます。

これだけあればリアのプリロード以外は調整出来ます。

ノギスはフロントのプリロード確認用ですが、

イニシャルアジャスターには目盛りがついているので無くても調整は可能です。

お山。

今日はマシンの挙動に特に神経を集中させ、ペースはあまり上げずに走ります。

写真には写っていませんが、天気の良い土曜日だったのでツーリングのライダーが大勢来ていました。

ライダーの年齢層高いわ・・・おっと、自分も立派なオジサンになってました。

セッティング表

今回の調整では、表の7番のセッティングがベストと感じました。

この辺りを中心にもっと煮詰めればベストかもしれませんが、大ハズレではなさそうです。

リアはプリロードを弱めた以外はダンパーの設定は標準値なので、

また探ってみることにします。

それにしてもサスセッティングは難しいです。

マシンの挙動を感じ取らなければならないし、影響するパラメーターも多いし。

的確にセッティング出来る人は神だと思います。