ナガ練タイマー 製作記 前編
2022/8
8の字GPでタイム測定中の「コソ練タイマー」。
ジムカーナの練習に役立ててもらうべく「コソ練タイマー」を作りました。今年春から練習会の機材の1つとして参加ライダーの方々に活用してもらっています。自分も含め、測定されるタイムに一喜一憂しながらワイワイ使ってもらっているようでとても嬉しいのでした。自分の技能、技術が役に立つことほど嬉しいことはありません。
そこで調子にのって?第2弾を製作です。第2弾は本格的なタイム測定に使えるように次のような仕様とすることにしました。
スタート・ゴール独立センサー。
独立させることでコースレイアウト設定の自由度が高くなります。
複数台同時測定。
練習が効率的に行えるよう、5台まで同時にコースインしても測定可能にしましょう。
測定分解能1/1000秒。
タイムアタック時の熟練ライダー同士のタイム差は小さく、時に1/10秒どころか1/100秒単位の測定でも同タイムになってしまいます。そこでジムカーナ界では一般的な1/1000秒単位の測定分解能としました。
最大測定時間9分59.999秒。
ジムカーナのタイムアタックコースは長くても2分以内で完走するようなコース設定が多いようです。それなら1分59.999秒まで測れれば十分ですが、9分59.999秒までとした場合と回路構成はほぼ同じです。そこでどうせ作るならということで9分59.999秒までの測定時間としました。
モバイルバッテリーを電源にする。
コソ練タイマーではモバイルバッテリーを電源にしました。既に持っている方も多く、購入するにしても1000円程度から入手可能なためです。第2弾でも同じくモバイルバッテリー駆動とすることにしました。
ただし表示桁数は3桁から6桁と倍、サイズも拡大、さらにはより高輝度のLEDを使う計画のため、モバイルバッテリーで十分な駆動時間が確保できるか分かりません。そこでバイクや四輪車用の12Vのバッテリーなども使えるようにします。
試作機セット。
私のマイコン使用歴は1年足らず。回路設計、プログラミングともにまだまだ初心者。狙い通りの物が作れるかどうか自信がありません。そこでまずはブレッドボードを使って試作。
試作機の部品構成。
センサーと表示桁数が増えたこと、ブザーを鳴らしたいこと、将来的に機能拡張も出来るようにするため、コソ練タイマーに使ったマイコンより入出力数が多い物を採用しました。(PIC16F1933)。
単体のLEDはタイム測定中に点滅します。タイム測定中のマシンの有無を表示だけで確認できるようにするためです。
一旦「コソ練タイマーⅡ」と命名。
ケース。
ちょうど良さそうなアルミケースがヤフオクに出品されていたので落札。デカイ。5億円位入りそう!?
内側。
くりぬかれた緩衝材が入っています。元々はこのケース、コンピューターのデータ記録用テープ?を保管、運搬するものらしい。
試作2号機。
ケースの大きさから表示部の大きさ、構成が決まりました。1桁だけ実際に作ってみて見え方や消費電流を確認します(右側)。コソ練タイマー(左側、試作機)と比較して数字サイズは約1.5倍となりました。
大きな問題はなさそうなので本番機を製作します。まずは部品購入。
買い揃えた部品。
ほとんどは通販で購入。しかしスイッチなんかは実際の操作感を確認して買いたい。そこでバイク用品の物色も兼ねて東京へ出向き、秋葉原を訪れて一部は購入しました。
基板の切断。
表示LEDを実装する基板サイズは幅600mmほど。しかしそんな大きな基板は市販されていません。そこで2枚を継いで使うことにしましたが、それには基板外周部が余分です。丸ノコで余分な部分を切断しました。
塗装。
表示コントラストを上げるために艶消し黒で基板を塗装。
マスキングテープ剥がし。
裏面に塗料を付着させないために貼っておいた物です。
今回使用するLED。
高輝度かつ高視野角の物はないか。選んだのは角型のLEDです(OptoSupply OS5YKAZ2C1P)。標準電流は70mA、眩しい!
レイアウト確認。
CADで検討した部品配置に間違いがないか、無理が無いかを実際に部品を並べてチェック。位置間違いに気付かずに部品取り付けを進めると後々修正困難で悲惨なことになります。念入りに確認。
DC-DCコンバーター他。
前作コソ練タイマーの電源電圧は5Vでした。一般的なモバイルバッテリーの出力電圧です。当初は同じく5Vの電源供給を考えましたが、消費電力が大きく5Vでは電流が大きくなりすぎて色々苦しくなりそうなので12Vとしました。
センサーの電源電圧は12~24Vなので、12Vの電源供給ならそのまま駆動できます。しかしLEDは6個ずつ直列、定電流レギュレターも挿入するので12Vの電源供給では低い。そこでDC-DCコンバーター(ストロベリー・リナックス TPS55340)で昇圧させます。
ジャンパー線。
使い慣れた直径0.3mmのハンダメッキ線です。1つの穴に最大4本まで挿入できて分岐もラク、値段も安い。私がこれを使うようになったのは下記のアンプ自作紹介Webサイトで紹介されていたから。掲載記事を参考にアンプも3台ほど作りました。素晴らしいWebサイト。
IC周辺のジャンパー線。
ジャンパー線を配置しておいてからICソケットを挿入、ハンダ付けします。・・・ソケットに挿入したICが振動や衝撃で抜けてこないか若干心配。
定電流IC。
LEDの電流制限用です(ON SEMICONDUCTOR NSV45090JDT4G)。本来は表面実装用なので基板裏面にハンダ付け。
PDトリガーケーブル。
対応しているモバイルバッテリーから12Vを取り出せる便利なケーブルです。電源供給にはこれを使います。モバイルバッテリー側のコネクタはUSB Type C。
動作テスト。
下3桁分が完成しました。「目がぁ、目がぁ!(再)」
6桁完成。
LEDの総個数は261個。数日間作業を続けて取り付け完了。うーむ、老眼の目にはツラカッタ。しかしこうして形になってくると嬉しく楽しいもんです。