バイクの振動を測ってみたい。
理由は、タイヤ交換時のバランス調整の影響を知りたい、と思ったためです。
まずは、バランス調整済みのタイヤ・ホイールセットにウエイトを追加し、
意図的にバランスを崩して試走してみました。
影響は大まかには体感できたのですが、数値的にも測ってみたいと思ったのです。
コロナウイルスの影響であまり外出もできず、時間も十分にあるので、測定機器を作ってみました。
製作した振動測定ユニット。
これはケースのカバーを開けた状態です。
サイズは約100×60×20mm、部品代合計は4000円ちょっとでしょうか。
組み込んだ加速度センサモジュール。
電気関係では有名な秋月電子通商で販売されているもので、X、Y、Z、3軸の加速度が測定できます。
同様の物がスマートフォンやゲーム機のコントローラーなどで使われているそうです。
お値段850円也。
同じく組み込んだUSBミニオシロ/データロガー。
こちらも秋月電子通商で購入。
加速度センサモジュールからの信号を変換して、USBでパソコンに送ります。
お値段は2400円。
加速度センサーからは3軸、3chのデータが出力されます。
しかし、これには入力が2chしかないので、X、Z軸を接続し、Y軸は非接続です。
ZX-14Rでのテスト。
タンクの上に両面テープで軽く固定してみました。
ケース上面の十字の真下に加速度センサーが内蔵されています。
測定結果。
目論見通り振動が測定できました。
グラフは横軸が周波数、縦軸が強さで、エンジン回転数約2000rpm(停車中)のデータです。
左のピークは、直4エンジンでは回転数の2倍で発生する2次振動で、計算通りの約67Hzです。
2番目の大きなピーク、約120Hzはどうやら燃料ポンプの振動のようです。
ZX-14Rは、メインキーONで燃料ポンプがウィーンと3秒間動作しますが、
その時の測定周波数の値とほぼ一致しています。
燃料タンク上にセンサーを固定しているため、強く測定されているようです。
走行中に測定すれば、タイヤ・ホイールセットのバランス調整の影響が測定できそうです。
アンバランスなら、タイヤの回転に同期した振動が現れる・・・はずです。
ちなみにこのテスト中、エンジンの同調がずれてきていることに気付きました。
アクセルを開けて狙った回転数に合わせようとしても、
上がりすぎたり、下がりすぎたりで合わせるのが難しいのです。
特に低回転、アクセルの開け始めで目立つので、同調がずれている症状そのものです。
同調が合っていれば、アクセル操作で任意の回転数に合わせられ、
滑らかで軽いエンジンレスポンスにもつながります。
同調を合わせるための整備を計画しましょう。
機材車載編に続きます。
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おまけ
上記、秋月電子通商製のUSBミニオシロ/データロガー、OSC001 PCB SCOPE(通販コードK-11841)について。
購入される方がWeb検索でこの記事に辿り着くことを期待して、おせっかいを書いておきます。
購入された場合は、使用前にエポキシ接着剤でコネクター部を補強してしまうのが良いです。
基板上のUSBコネクタは、ケーブルを刺した状態で力が加わると、簡単に外れてしまいます。
コネクタは基板の銅箔パターンに半田付けされてますが、パターンの面積が小さいため、
パターンごと剥離してしまうのです。
一部の信号ピンのパターンも道連れで千切れてしまいました。
修理・補強したUSBコネクタ部。
2液のエポキシ接着剤で周囲を固め、信号ピンも半田付けし直しました。
千切れてしまった信号ピンのパターンは、極細のメッキ線で置き換えています。
非常に細かい作業なので、骨が折れました・・・。
先端が極細の半田ごても必要になります。