2018/2 追記
ブレンボRCSラジアルマスターシリンダーの模造品(偽物)が流通しています。
くれぐれもご注意を!
R1-Zのフロントブレーキにはニッシンのラジアルマスターシリンダーを装着しています。
ノーマルの横型マスターシリンダーに比べれば格段に操作性は良いものの、
ZX-14Rに装着しているブレンボのRCSラジアルマスターシリンダー(長いので以下RCS)には及ばないように思います。
遊びが大きく、レバーから伝わる情報量が多くない・・・。
そこで、ZX-14R同様にRCSに交換します。・・・ブレーキにこだわりすぎですな、私。
RCSはレバー比を可変出来るマスターシリンダーです。
ピストンを押す作用点の支点からの位置を18mmと20mmのいずれかに簡単に設定変更可能です。
また、ブレーキスイッチが付属します。
以前にGPZ1100への取り付けを記事にしていますが、ここではあらためて
ニッシン製のラジアルマスターシリンダーと比較しながら取り付けを紹介していきます。
購入したRCS。
ヤフオク(ストア)で新品を28,000円で購入しました。
たしか1ドル80円位の円高の時はもっと安く2万円台前半で購入できたような気がします。
日本語のコーションラベルが無いので並行輸入品のようです。
現在ZX-14Rに取付けている前回購入した物は日本語のコーションラベルが貼られていたので、
日本の代理店扱いの物だったようです。
どちらでも問題ないとは思いますが、ブレンボ製品の購入で最も気を付けなければいけないこと・・・、
それは偽物が流通していることです。
開梱。
本体、スイッチ、ダブル用バンジョーボルト(ビニール袋内)、取付説明書、ステッカー2枚。
説明書は数ヶ国語で書かれていて日本語の記載もありますが、
当たり前のことしか書いていないのであまり役に立ちません。
本体の拡大。
ブレの無い切削痕、鋭いレーザー刻印、部品同士のガタの小ささなどから言って本物です。
以前購入した物との差もありません。
まあ、現在のところRCSについては偽物は見かけたことがないので
あまり心配する必要は無いのかもしれません。
RCSではないレーシングマスターやキャスティングキャリパーは偽物が流通しているので
掴まされないように十分注意が必要です。
付属のブレーキスイッチ。
スイッチは本体へはめ込んで固定します。接続端子はキボシ端子でリード線長も30cm以上あるので、
平型端子への交換とリード線の短縮が必要です。
日本のギボシ端子と違って、先端で芯線を圧着してあります。
以前RCSを買ったときに、
「・・・スイッチの耐久性が若干心配です。日本製以外の電気部品をあまり信用していないので・・・」と書きました。
しかし数年数万キロ使用しましたが、問題は発生していません。
失礼なこと書いて申し訳ありませんでしたm(_ _)m
調べたところこのスイッチのメーカーはドイツの会社で、
自動車などへの部品供給もしていました。どおりで問題ないわけです。
ドイツ車は日本車に比べると故障は多いようですが、その他の国に比べればまともな方ですし。
バンジョーボルト取付部比較(左:ブレンボRCS、右:ニッシン)
ボルトのピッチはニッシンの1.5mmと異なり1.0mmなので、バンジョーボルトをそのまま
使い回すことは出来ません。
ニップル比較(左:ブレンボRCS、右:ニッシン)
ブレンボはストレート部の直径が7mm、カエシ部分の直径が8mm。
ニッシンは少し太くて、ストレート部の直径が8mm、カエシ部分の直径が9.2mm。
たった1mmの差ですが、ニッシン用のリザーバータンクホースをブレンボに接続すると緩すぎです。
逆にブレンボ用のホースをニッシンに接続しようとするときつすぎです。
よって、ブレンボには内径の細いホースを用意する必要があります。
用意したリザーバータンクホース。
ブレンボの細いニップルに合わせた内径6mmの細い物です。ZX-14RへのRCS装着でも使用しています。
245mmで950円ということは1mに換算すると約4,000円とかなり割高です。
しかし、ガソリン用燃料ホースなどで代用するとフルードが浸透して出てきてしまいます。
高いですが仕方有りませんね。1本買えば数台に使えるし。
それとこのキジマのホース、外径が細いのでおすすめです。
内径は同じで外径が太い物も市販されていますが
太いと曲がりにくくニップルに負担がかかりやすいです。
ブレンボ製リザーバータンク。
気が付けば手元に3種類もありました(汗)。
細いリザ-バータンクホースをマスターに接続するので、リザーバータンクのニップルも細くなければ接続できません。
つまりタンクもブレンボ製で揃える必要があります。
右のものはクラッチ用の小容量の物です。使えないことはなくて、私も一時期ブレーキ用に使っていたこともあります。
しかし容量が小さいためにキャリパーのメンテナンス時に不便でした。
ピストンを出し入れするときにフルードがあふれたり、逆にエアを吸ってしまったりしやすくなります。
今回はホースの取り回しも考慮して真ん中のタイプを使用します。
ここからは取付け準備作業です。
ブレーキスイッチのリード線の加工。
リード線を短縮し、平型端子を圧着します。
端子が露出してもショートしにくいように長さを意図的にずらしています。
仮組み。
リザーバータンクのステーはコーケン製を使用しています。
実はこれ、数年前にGPZ1100で使おうとして購入したものの結局使わずに保管していた物です。
ステーは少し曲げて、車体取付け時にリザーバータンクが水平になるように調整しました。
曲げるときに塗装が少し剥がれてしまったので後日タッチアップするか塗り直すことにします。
ホース付属のホースクリップは小さすぎるので別途用意した物を使っています。
ミラーが取り付け可能なマスターのホルダーも以前購入した物です。
取り外し前のニッシン製ラジアルマスターシリンダー。
R1-Zオリジナルのマスターの傷みが激しかったので交換しましたが、
1年も経たずにまた交換です。
ニッシン製ラジアルマスターシリンダー取り外し後。
ブレーキホースは自作ステンメッシュホースですが、ここだけはバンジョーを自由に回転できるアダプターを取付けて、
マスターの角度調整やハンドル交換を行っても角度を振って合わせられるようにしています。
RCSラジアルマスターシリンダー取付け前のグリスアップ。
これに限った話しではないですが、Assy状態で購入した部品は組込む前に
ボルトの緩みのチェックや、グリスアップをしたいところです。
レバーを外してみたところ、レバー軸周りにはあまりグリスが無く不十分な潤滑だったのでグリスアップしました。
ピストンとプッシュロッド部分。
こちらは元々グリスが十分に塗られていました。
ブリーダーボルトへのシールテープ巻き付け。
私はマスターシリンダーやキャリパーのブリーダーボルトのネジ部へシールテープを巻いてしまいます。
こうしておくとネジ部にフルードが入り込まず、エア抜き作業後にしつこくフルードがにじみ出てくるのを防げます。
幅を狭く切ったシールテープを2回転ほど巻き付けています。
使用するブレーキフルード。
愛用のブレンボ製のLCF600プラスです。
国産のフルードの2倍ほどの値段ですが、剛性が高くお気に入りのフルードです。
容器の一部が透明になっていて、残量が分かるのも良い点です。
エア抜き作業。
ブリーダーボルトの対辺のサイズは国産車ではまず使われない11mmです。
モンキーレンチでも作業できなくはないですが、やはりメガネが確実で便利です。
ちなみに私は11mmと13mmのレンチに赤くマーキングして区別しやすくしています。
ブリーダーボルト内に残ったフルードの洗浄。
エア抜き完了後、細い金属ノズルを差し込んでパーツクリーナーで洗浄します
(実際の作業ではウエスをかぶせて飛び散りを防止しますけど)。
取付け完了。
エア抜き作業時にじゃまなので、ミラーは最後に取付けています。
正面から。
リザーバータンクが水平に付きました
(写真を回転させているので建物が傾いています)。
真横から。
前後方向もほぼ水平に付きました。
リザーバータンクが少々斜めでも実用上大問題ではないですが
私は水平に取付けたいのです。斜めだと気持ち悪くって。
リザーバータンクのフタは手で回せば簡単に外せてしまうわけなので、
用心するならばワイヤリングなどしておきましょう。
ニッシン純正のタンクだとビスで固定する押さえが付いてますね。
さて、交換後のインプレですが。
ありがちなインプレですが、やはりレバーから伝わる情報量が多く、
コントローラブルで最高です。ニッシン製も悪くはないのですが、やはりこちらの方が上質です。
レシオは18mmと20mmから選択設定できますが、
ストロークが適度に長く(わずかな差ですが)、コントロール性に優れる18mmの方が好みです。
20mmだと少ないストロークで効かせることができますが、
コントロール性と制動力で18mmの方が優れていると思います。
ZX-14Rでも同じ理由で18mmで使用しています。