分解、洗浄、組立、純正キャブとの比較、と随分前置きが長くなってしまいましたが、
ようやく1KTキャブを取付けます。
取付けますが、その前に念のために実油面を測定してみます。
取付けてからオーバーフローしてた!となると再びキャブを外さなければならず面倒なので。
手持ちの部品取りエンジンでの測定。
エンジンの角度を車載状態とほぼ同じにしてキャブを仮組、
ガソリンをシリンジで供給しています。
油面位置。
フロートチャンバーのドレンを緩めれば、ドレンに接続したチューブに
チャンバー内の油面と同じ高さまでガソリンが上がってきます。
・・・さて、ここまでやってはみたものの、どこを基準に高さを測定するかが分かりません。
一般的にはフロートチャンバーの合わせ面を基準にするのですが、
キャブは斜めなので水平方向のどの位置で測るかが決まっていないと測定になりません。
R1-Zのサービスマニュアルでもはっきり書かれていないので困ってしまいます。
そこで、
キャブを垂直にしての油面測定。
1KTのサービスマニュアル(海外仕様2MAですが)には、
油面位置を垂直状態のキャブで測定しているイラストがあります。
標準値はフロートチャンバーの合わせ面から1.1~2.1mm下となっています。
そこでキャブを垂直にセットして測定しました。
バイスにスティールの棒を挟み、キャブへ棒を通して固定しています。
スロットルバルブは抜いています。
キャブの油面位置。
左右とも標準値でした。
油面位置はキャブの角度で簡単に変わってしまうので、正確に読み取るのは意外に大変です。
これで安心してキャブを取り付けできます。
キャブ交換作業開始。
キャブとは関係ありませんが、レギュレターは台湾ヤマハ製のマジェスティ125の物を流用しています。
この年代のヤマハ車のレギュレターは高確率で故障するようです。
私も故障したので交換しています。間違ってもヤフオクで中古を買わないように!
壊れているか、すぐ壊れるかのどちらかです。
ノーマルキャブ。
キャブヒーターのホースがあるせいでごちゃごちゃしています。
スロットルケーブル取り外し。
キャブヒーターホースの取り外し。
1KTキャブにはヒーターは無いので、ホースを取り外してしまいます。
バンジョーボルトを抜いてバンジョーを取り外し、代わりのボルトと銅ワッシャーで塞ぎます。
ホースの向きを変えて、奥に見えるヘッド側の取り出し口とバイパスしてしまっても良いでしょう。
取り外したノーマルキャブ。
必要な部品を1KTキャブに移植します。
今回は負圧ホースとコック~分岐までの燃料ホースを移植します。
チョークプランジャーへのグリスアップ。
動作頻度は低めですが、摺動部に違いは無いので、チョークプランジャー側面へグリスアップをしておくことにしました。
使用グリスはFCRキャブなどにも使われるガソリンに溶解しないバリエルタです。
サービスマニュアルに指示があるわけでは無いので、グリスアップしなくても特に問題ないとは思いますが
気分の問題ですわ。
取付け準備が完了した1KTキャブ。
やはりキャブヒーターホースがないのでスッキリしています。
キャブ取り付け完了。
後は左右の同調調整を行い、エアクリーナーボックスを取付けてタンクを載せ、
燃料ホースと負圧ホースを接続すれば完成です。
さて、始動確認します。
まずは燃料コックをプライマリーにしてガソリンを送り、オーバーフローが発生していないことを確認します。
私のやり方ですが、次にここで一度キャブのフロートチャンバーのドレンを緩め、
ガソリンを少し排出させます。ゴミなどがあった場合にジェットを詰らせないようにするためです。
気休めかもしれませんが、配管作業ではよく行われる方法(フラッシング)です。
エンジンは難なくかかりました。
とりあえず軽くブリッピングしてみると軽く吹け上がるので大きな問題は無さそうです。
1KTノーマルのセッティングで走れる、なんてWeb情報もありますが実走で確認してみます。
低~中回転(5,000回転位まで)・・・若干トルクが太くなったようです。
キャブを大口径化したので、低~中回転トルクは細るかと思っていたのですが、むしろ逆で乗りやすくなりました。
4,500回転付近のトルクの谷は変化無し。これはキャブに関係なくエンジンの特性のようです。
中~高回転(11,000回転位まで)・・・あまり変化を感じられません。
もっと力強く吹けるのを期待していたんですが、ノーマルキャブとほとんど差が無いように思います。
とりあえず、街乗りであれば1KTのノーマルセッティングで十分走れます。
ただ、高回転域についてはセッティングを変えて試していくことにします。
以下はセッティングメモです。
1KTノーマルセッティング PJ #20 MJ #230 ニードルクリップ位置 2/5 ちょっと濃い?高回転回転上昇遅い、9000回転以上回りにくい