スロットルボディ清掃・プラグ交換(前編)
2023/7

 ZX-14Rの車検が2か月後に迫りました。まったく時の流れは早いもので2012年の購入から11年が経過、5回目の車検です。

 車検を考えると気が重くなります。なぜなら過去4回の車検で毎回排ガス検査で再検査になっているから。CO(一酸化炭素)濃度過多で、1回でパスしたことはなし。2年前の前回車検時に至っては3回目で何とかパスしたのでした。

 エキパイ、マフラーはノーマル。ECUも。サブコン入れているわけでもない。プラグもエアクリも問題なし、問題を起こすとすればセカンダリーバルブ(サブスロットルバルブ)を取り外していること位でしょうか。

 しかし同バルブを外していない方でも同じようにCO濃度過多で車検にひっかかっているようなので無関係でしょう。

 Webで検索すると同じよう症状の方々が見つかります。メールで当ページへお問い合わせを頂いた方もいます。どうやら2012~2014(2015?)年式のZX-14Rは何かがおかしいのではないか、そんなことを考えて過去には診断機の接続に挑戦してみたりしましたが、今まで解決の糸口を見つけることは出来ていません。

 しばらく前にはO2センサーを新品に交換してみましたが、何の変化も得られませんでした。残念。

 そこで今回はスロットルボディを見直してみることにしました。スロットルボディの整備は過去にも行っています。ただしヘッドカバーガスケット交換時に合わせて行ったので徹底的に行ったわけではありません。

 今回は出来ることは全てやってみよう。2個接続されている吸気圧センサー(圧力センサー)も点検してみよう。バイパススクリューも調整してみよう。スロットルボディの取り外しを始めたのでした。

 車体から取り外したスロットルボディ。と書くと簡単そうですが、これが大変。

 カウル、燃料ホース、タンク、スロットルワイヤー、ファネル、カプラーを外し、最後は横から引っ張り出す。エンジンにフレームが上から覆いかぶさっているため一苦労なのです。プラグ交換なんかも大変。

 バイパススクリューとハーネスの位置関係。ハーネスをずらさないとバイパススクリューの調整が出来ません。ところがハーネスは結束バンドでブラケットにがっちり固定されています。

 なのでバイパススクリュー調整時はブラケットごと外してハーネスをずらす指示がサービスマニュアルにあります。しかしブラケットを外すにはスロットルボディを一旦外さねばなりません。色々大変面倒。

 メインスロットルバルブ周辺。さほど汚れてはいません。シャフトの両端は真っ黒に汚れている、のではなくて(おそらく)モリブデンコーティング。摩擦低減が目的と推測。

 インジェクター取り付け部。ボディとの間のインシュレーターに亀裂が入っています。交換時期です。

 インジェクターのカプラー取り外し。分解開始です。まずはハーネスの取り外し。

  吸気圧センサーのカプラー取り外し。このスロットルボディには2つの吸気圧センサーがあります。

 ISCV(アイドリングスピードコントールバルブ)のホースの取り外し。

 各気筒をバイパスするホースの取り外し。吸気圧センサー#1が接続されています。

 サービスマニュアルによると吸気圧センサー#1は吸気圧を測定、#2は大気圧を測定とのこと。

 吸気圧センサーの取り外し。振動を嫌ってかラバーマウントされています。マウントのカエシをセンサーの穴に押し込むようにすると引き抜けます。

 デリバリーパイプの取り外し。インジェクターも一緒に外れてきました。

 インジェクター先端のインシュレーター。インシュレーターには遮断するという意味があります。振動をインジェクターに伝えないのが主な目的でしょうか。もちろん機密を保つ役割もあります。これがないと二次エアを吸ってしまいます。

 ご覧の通りひび割れていて完全に切れるのも時間の問題。幸いまだ気密は保たれていました。

 インジェクターの取り外し。デリバリーパイプから引き抜きます。

 インジェクターから取り外したインシュレーター。ダメだこりゃ。新品に交換します。

 バイパススクリューの取り外し。先端は若干すすけています。名前の通りスロットルバルブを迂回する空気量を調整します。

 ・・・このスクリューを緩めればエンジンに供給される空気量は増えます。そうすれば燃調は薄くなってCO濃度も低下、排ガス検査も一発合格、メデタシメデタシ!、そうはならない気もします。

 ZX-14RにはISCV(アイドリングスピードコントロールバルブ)があります。アイドリング回転数を自動調整するためのバルブで、スロットルバルブを迂回する空気量を調整してエンジン回転数を調整します。迂回する空気量を調整するという意味ではバイパススクリューと同じです。

 なのでバイパススクリュー経由の空気量を増やしても、ISCVが空気量を自動的に絞ってしまい燃調は変わらないかも? 実際に試してみましょう。

 バイパススクリュー先端に組み込まれているワッシャーとOリングの取り外し。この部品構成はキャブレターのパイロットスクリューやパイロットエアスクリューと同じです。スロットルボディ側に残ることが多いので、ピックアップツールで忘れずに取り外します。

 このOリング、単品での部品設定がありません。スクリュー、スプリング、ワッシャーとのセット販売でお値段は税込み1829円。4気筒分買ったら7000円を超えます。

 劣化で交換が必要になるOリングだけで買えれば安く済むのに。単品で部品設定されている車種もあるので解せません。汎用Oリングキットの物でも適合するかもしませんが出来れば純正を使いたい。

 流路の洗浄。キャブの洗浄と同じように流路にキャブレタークリーナを吹き込みます。流路は汚れていてクリーナーに茶色い汚れが溶け出します。汚れが溶け出さなくなれば洗浄完了です。

 流路以外にやたらとクリーナーを吹き付けるのは避けた方が賢明です。スロットルバルブの開度センサーなどを壊してしまうと一大事。単品購入できません。

 流路の点検。汚れが残っていないか、ちゃんと貫通しているかライトで照らして念のために確認します。細い流路内もライトで照らすと結構見えます。不安な要素はできるだけ排除しておきたい。

 後編へ続きます。