フロントフォーク シール交換(分解・点検) 2019/12-2020/1

フロントフォークのオイルシール交換を行います。

私のZX-14Rでは初めてとなる作業です。

新車購入から7年、約35,000kmを走行しましたが、フォークのシールからオイルが漏れ始めました。

劣化したフォークオイルは性能を低下させ、部品磨耗も早めてしまいます。

シール交換はせずともオイル交換だけでももっと早めにすべきでしたが、先送りしていました。

反省。

ZX-14Rのフロントフォークは倒立フォークです。

分解・組立てには、一時的にフォークスプリングを圧縮して縮めておく必要があります。

そのために市販の工具を購入する方法もありますが、今回は自作してみたのでそれについても記載しています。

作業にあたってはオイルを拭き取るウエス類を多めに用意しておいた方が良いでしょう。

フォークの分解・組立てをやったことがある方は分かると思うのですが、手はオイルまみれになります。

オイルをこぼしたり、垂らしてしまうことも少なくありません。

フォーク上端、トッププラグをあらかじめ緩めます。

フォーク単体になってからでは緩めにくいので、アンダーブラケットにクランプされているうちに緩めておきます。

ソケットのサイズは24mmです。

トップブリッジのクランプボルト(矢印)は先に緩めておきます。

締まっているとトッププラグを緩めにくいためです。

フォークの取り外し。

アンダーブラケットの固定ボルトを緩めて引き抜きます。

ZX-14Rの場合、トップブリッジやアンダーブラケットと、フォークアウターチューブの嵌め合いはきつめです。

固定ボルトを緩めても簡単には引き抜けないはずです。

勢い余って落下させないよう、慎重に引き抜きます。

取り外したフォーク。

以前自作した整備用のスタンドに立てておきます。

立てておく手段がないと、この後の作業は困難になります。

あらかじめ考えておきましょう。

倒れてしまうと部品が傷付きオイルもこぼしてしまいます。

トッププラグのアウターチューブからの取り外し。

あらかじめ緩めておいたトッププラグを取り外します。

露出したカラー(筒)。

トッププラグをアウターチューブから外すと、アウターチューブを引き下げることが出来ます。

次はトッププラグをカートリッジユニットのロッドから外します。

水色のマスキングテープは、工具をかけた際の傷防止用に貼っています。

(自作した)フォークスプリングコンプレッサーへのセット。

自作したフォークスプリングコンプレッサーについてはこちら

露出したトッププラグの固定ナット。

ジャッキを持ち上げていくと徐々に露出します。

トッププラグのナットを緩めます。

露出したナットにスパナをかけて緩めます。

ナットの対辺寸法は17mmです。

トッププラグの取り外し。

ナットを緩めたら、ロッドからトッププラグを外します。

ワッシャー・カラーの取り外し。

これらは手で取り除くだけです。

オイルの排出。

新車から35,000km無交換、出てくるオイルは真っ黒と想像していたのですが、そこまでではありませんでした。

スプリングとカートリッジユニット内の細いパイプも外します。

アウターチューブの取り外し。

引き抜いて分離します。

ダストシールの取り外し。

マイナスドライバーでこじるかスクレッパーを差し入れて、アウターチューブから外します。

シールには亀裂が入っています。

使い過ぎです、いけませんね。

スナップリングの取り外し。

ピックツールかマイナスドライバーを使って外します。

正立フォークだと水が溜まりやすいせいか、ほとんどの場合錆びてしまっています。

しかし倒立フォークで水が溜まらないせいか、錆びは全くありませんでした。

再使用します。

オイルシールの取り外し。

アウターチューブ端面に傷をつけないよう、当て物をしておき、マイナスドライバーで少しずつこじって外しました。

今回はマイナスドライバーを使いましたが、力加減を誤ると先端でアウターチューブ内側に傷をつけてしまいます。

先端がもっと広く丸い、例えばタイヤレバーのようなものの方が安全そうです。

ワッシャーの取り外し。

抜いたオイル量の測定。

本当はオイル排出前に油面を測っておけば良かったのですが、忘れてしまったのでオイル量を測定します。

両側とも約450ccで規定量でした。

なぜ、オイル量を測定したか?

本来は不要な作業です。

前々から、フロントフォークがスムースに動かないと私は感じていたのです。

もしやオイルが入りすぎだったりするのでは?と疑っていたので、そのために測定をしました。

しかし、少なくともオイル量に問題はありませんでした。

カートリッジユニットの取り外し。

正立フォーク、倒立フォーク問わずフォーク分解時の鬼門です。

まずは写真のように底部のボルトを緩めて取り外すのを試しました。

しかし、カートリッジユニットが供回りしてしまって外せません。

そこで、

スプリングとカラー、ワッシャーを入れて圧縮。

こうしてカートリッジユニットを押さえ、供回りしにくくしました。

しかし、ハンドツールではまだ供回りしてしまいます。

仕方ないので、

インパクトレンチでボルトを緩めて外しました。

インパクトレンチが無ければ分解できなかったわけで、その場合はカートリッジユニットを押さえる

特殊工具を用意するしかないでしょう。

この作業、やはりフォーク分解時の鬼門です。

運が良ければ特殊工具無しでも分解できるのですが。

カートリッジユニット。

底面ボルト取り外し後、抜き取ります。

サービスマニュアルではこのユニットは非分解の指示です。

分解はせずオイルの排出に留めます。

分解・洗浄が終わった部品類。

パーツクリーナーで洗浄しました。

組立て前に各部品を点検しましょう。

フォークスプリング自由長の測定。

両側とも規定長の237mmほぼちょうどでした。

問題ありません。

取り外した圧縮側ダンピングアジャスター。

サービスマニュアルでは取り外しについて記載はありません。

パーツリスト上で確認しても単体での部品設定はされていません。

しかし、洗浄時に邪魔になるので取り外してみました。

ニードルやOリングに傷みはなく、調整動作にも問題はありません。

トッププラグに付けてしまった傷。

これは作業の失敗例です。

ナットを緩める際、ここにかけたソケットレンチが外れてしまい傷をつけてしまいました。

レンチのオフセットが小さくなるように工夫すべきでした。

反省、と思ったのですが、もっと良い方法がありそうです。

それは、

このあたりにレンチをかける方法。

工場組立て時はどうやらここにレンチをかけているようで、痕跡が残っています。

いつになるか分かりませんが、次回はここにレンチをかける方法も検討してみましょう。

アウターチューブのスライドメタル点検。

インナーチューブと擦れる部分には灰色のコーティングが施されています。

剥がれや磨耗はなく問題ありません。

経験的にここが剥がれている車両は見かけたことがありません。

インターチューブの点検。

メタルと擦れる場所は若干磨耗して光沢が強くなっています。

しかし、メッキの剥がれ、錆び、傷はなく、こちらも問題ありません。

組立てに続きます。